言葉の意味は時代と共に変わる!?変化する日本語の語彙
公開日:2023.02.17
最終更新日:2024.07.08
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日常の会話やコミュニケーションなど、生活に欠かせないのが母国語の『語彙』です。
語彙が少ないと自分の気持ちや用件をうまく伝えることができません。
文化庁が実施した「国語に関する世論調査」の結果でも、言葉やその使い方について、社会全般の課題があると答えた人が8割を超える結果となっています。
時代と共に変わる言葉の意味や語彙についてみてみましょう。
目次
そもそも語彙ってなに?
『語彙=言葉』のことだと思っていませんか?
語彙は個々の単語を指すものではなく、単語の集合をあらわす言葉です。
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一定の範囲で使われる単語の集合のこと
広辞苑では以下のように説明されています。
語彙
一定の範囲に用いられる単語の集合を「語彙」という。一定の範囲とは、言語の種類、地域、階層、専門領域、作品、個人など、なんでもある範囲が考えられればよいのであって、語彙は、そこに含まれる単語の総体をさすことばである。
広辞苑より
上記から、「語彙」は個々の単語ではなく集合をあらわす単語であることが分かります。
特定の個人の語彙(使用語彙・理解語彙)
自身の語彙を適当な場面で正しく使える力を「語彙力」といいます。
「語彙力がない」というのをよく耳にするのではないでしょうか。
このように、特定の個人の語彙を考える場合は以下の2つに分ける必要があります。
- 「使用語彙」…話したり書いたりすることのできる語彙
- 「理解語彙」…聞いたり読んだりして理解することのできる語彙
使用できれば理解もできるけれど、理解できても使用できるとは限らないので、一般に、使用語彙は理解語彙に含まれるとされています。
語彙が多い人と少ない人のちがい
語彙は育つ過程の環境や、その後個人が習得する言葉の数などが影響します。
では、語彙が多い人と少ない人では、生活や学習にどんな違いが出てくるのでしょうか。
語彙は会話やコミュニケーションなど、日常生活に欠かせない
日常の会話やコミュニケーションでは、知っている言葉を使って自分の考えなどを伝えるので、語彙が多いほど相手にもより深く理解してもらえる可能性が高くなります。
しかし、語彙が少ないと自分が本当に伝えたいことが伝わらなかったり、相手の理解度も低くなったりします。
語彙が多いということは、誰かに物事を伝えることはもちろん、自身が物事への理解を深めるのにも欠かせない要素の1つなのです。
語彙が少ないと読解力にも影響する
言葉を正しく使う「語彙力」のもととなる「語彙」が少ないと、普段の学習や入試で必要な「読解力」にも影響します。
言葉の意味がわからなければ、そもそも文章や問題の理解ができず、読み解くこともできないのです。
OECD加盟国の15歳児を対象にした、国際的な学習到達度に関する調査(PISA)でも、日本の子供たちの「読解力」が低下しているという結果が出ています。
OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント より
国語に関する世論調査結果
令和3年度に文化庁国語科が実施した「国語に関する世論調査」の結果では、言葉やその使い方について、社会全般で課題があると思うと答えた人が8割を超えました。
どのようなことが課題と考えられているのでしょうか。
社会全般で課題があると答えた人は全体の8割以上!
はじめに、言葉やその使い方について社会全般で課題が「あると思う」と答えた人は84.6%いました。
一方、「あるとは思わない」人は14.5%でした。
年齢別にみると、「あるとは思わない」と答えた人は、20代と30代が2割台と、ほかの年代よりやや高くなっています。
「流行語や言葉の使い方の移り変わりが早過ぎる」と答えた人は45%
社会全般の課題の中で、どのような課題があるかについて、「改まった場で、ふさわしい言葉遣いができていないことが多い」と答えた人が59.5%と最も高く、ほかに「流行語や言葉の使い方の移り変わりが早過ぎる」(45.1%)、「敬語の乱れ」(43.2%)といった回答がありました。
特に、「流行語や言葉の使い方の移り変わりが早過ぎる」の回答では、年代が上がるほど高くなっており、時代と共に言葉が変化していることが窺えます。
語彙は時代の中でも変化する
時代と共に言葉が変化するということは、同時に語彙も変化します。
文法的に正しくないとされる場合があっても、新しい使い方として辞書などに掲載される言葉もあるのです。
いっしょう【一生】
[一]生まれてから死ぬまでの間。生涯しょうがい。「幸福な―・―の お願い〔=一生で一番大切な お願い。大げさに言うことも多い〕・〔副詞的に〕―忘れない・そんなにテレビが好きなら、―見ていなさい」
[二]⦅副⦆〔俗〕ずっと。「きょうは ねむくて―ねてた」〔二〇二〇年代に広まった用法。現在や過去のことにも使えるところが[一]と ちがう〕
なげせん【投げ銭】
〈名〉①ふるく、芝居や見世物などで観客から舞台へ、また、大道で通行人から芸人などへ、芸の代価として、紙に包んだ銭ぜにを投げ与えたこと。また、その銭。[類]おひねり・チップ
②ウェブサイトで、無料で企画やコンテンツを作成したことに対して、応援の意味を込めて寄付すること。また、そのときのお金やネット独自のポイント。「━システム・━サイト」
③時代劇・時代小説の主人公、銭形平次が、悪玉めがけて投げつける銭。「決め手の━を飛ばした」
このように、語彙は時代の中でも変化しますが、入試などで問われるのはやはり本来の正しい言葉の意味なので、それらをしっかりと学習し習得する必要があります。
語彙の習得に役立つ講座のご紹介
個人の習得する語彙には個人差があります。
幅広いジャンルの読書をしたり、いろいろな人と接したり、経験を積んだりすることで語彙は増えますが、現状の生活ではなかなか難しい、方法が分からないと思う人も多いのではないでしょうか。
そんな方には語彙の習得に役立つ講座がおすすめです。
新国語講座
日本速読解力協会の新国語講座では、すべての教科の土台となる国語力の中でも「読解力」を体系的に鍛えることに焦点を絞り、語彙・文法・論理力を鍛えることができます。(2023年春リリース予定)
まとめ
語彙は時代と共に変化する!
- 「語彙」とは、単語を指すものではなく、単語の集合をあらわす言葉
- 語彙が少ないと、問題の意味や問われている内容を正しく理解できない
- 語彙も言葉の意味も時代と共に変化するが、まずは本来の正しい意味で語彙を習得することが必要
新しい使い方として辞書に載っていても、入試などで問われるのはやはり本来の言葉の意味です。言葉の正しい意味を知り、自身の語彙を増やしていきましょう!