新しい国語の選択科目『論理国語』の内容は?『文学国語』との比較
公開日:2022.10.03
最終更新日:2024.07.08
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2022年度に高校に入学した生徒から、新しい学習指導要領で学ぶことになり、とくに新しい国語の科目の中で「現代文」が「論理国語」「文学国語」という2つの選択科目に変わることについて、さまざまな議論がなされています。
2つの科目の内容はどのようなものなのでしょうか。
また、中学生への影響はあるのでしょうか。
目次
『現代文』から2つに分かれた『論理国語』『文学国語』では何を学ぶ?
これまで「現代文」という1つの科目で扱ってきた評論と文学を、新しい学習指導要領では「論理国語」「文学国語」という2つの科目で学ぶことになりました。
どちらも共通履修科目である「現代の国語」及び「言語文化」により育成された資質・能力を基盤とし、主として「思考力、判断力、表現力等」の感性・情緒の側面の力を育成する科目として設置されています。
『論理国語』では論理的に書いたり批判的に読んだりする資質・能力を育成
「論理国語」では、実社会において必要となる、文章を論理的に書いたり批判的に読んだりする資質・能力の育成を重視しています。
教材は、『近代以降の論理的な文章及び現代の社会生活に必要とされる実用的な文章』や『必要に応じて、翻訳の文章や古典における論理的な文章などを用いることができる』としています。
『文学国語』では深く共感したり、豊かに想像して、書いたり読んだりする資質・能力を育成
「文学国語」では、深く共感したり豊かに想像したりして、書いたり読んだりする資質・能力の育成を重視しています。
教材は、『近代以降の文学的な文章 』や『必要に応じて、翻訳の文章、古典における文学的な文章、近代以降の文語文、演劇や映画の作品及び文学などについての評論文などを用いることができる』としています。
『現代文』が2つの選択科目に分かれた理由
今回の学習指導要領改訂の背景には、『新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し』があり、各教科等で育む資質・能力を明確化し、目標や内容を構造的に示すとしています。
また、中央教育審議会答申においては、高等学校の国語科の課題と科目構成の見直しについても示されています。
【国語編】高等学校指導要領(平成30年告示)
○ 高等学校の国語教育においては,教材の読み取りが指導の中心になることが多く, 国語による主体的な表現等が重視された授業が十分行われていないこと,話合いや 論述などの「話すこと・聞くこと」,「書くこと」の領域の学習が十分に行われていないこと,古典の学習について,日本人として大切にしてきた言語文化を積極的に 享受して社会や自分との関わりの中でそれらを生かしていくという観点が弱く,学習意欲が高まらないことなどが課題として指摘されている。
このことを踏まえ、今回の改訂では「論理国語」や「文学国語」などの科目が新設されています。
なぜ、論理国語が話題になっているのか
新しい学習指導要領では、これまで一つの科目で扱ってきた評論と文学を、別々の科目「論理国語」「文学国語」などで学ぶことになったため、どの科目を選択するかという点が話題になっています。
大学入試では評論の出題割合が高いため「論理国語」を選ぶ高校生が多いのではないかと言われていますが、「文学国語」を選択しない場合、長年親しまれた定番小説に触れることがないまま卒業する生徒がいる可能性も指摘されています。
このことから、2つを分ける必要があるのか、文学作品でも論理力は鍛えられるとする論や、既存の国語の授業では課題があるため、論理的に国語を教えることは重要だとする論などが展開されています。
『論理国語』『文学国語』必要なのは?
大学入試を考えると「論理国語」を選ぶ高校生が多いのではという見方が多いようです。
しかし、文学が不要になるということはなく学ぶ内容も異なるため、新しい時代に必要となる資質・能力という点ではどちらも必要と言えます。
今回の指導要領改訂では、国語の科目が分割されたことでそれぞれの科目の役割が明確になり、総合的に学ぶことで課題改善につながるのではないのでしょうか。
中央教育審議会答申においても、高校生の読書活動が低調であることが指摘されています。
【国語編】高等学校指導要領(平成30年告示)
○ なお,高校生の読書活動が低調であることなどから,各科目において,高校生がそれぞれの読書の意義や価値について実感を持って認識することにつながるような 指導の充実,読書活動の展開が必要である。
『論理国語』『文学国語』どちらの力も必要
2021年1月から始まった大学入学共通テストの国語では、小説を題材にした問題が2年連続で出題されています。
生徒会規約や著作権法の条文が題材となった試行調査の問題とは違い、「論理国語」で扱うとされている「実用的」な色合いはそれほど見られていません。
「論理国語」を選択したとしても、「文学国語」の対策は必要だと言えるでしょう。
読書や問題集に取り組み、早めの共通テスト対策を
2022年春より、新学習指導要領に基づく高校教育がスタートし、進学校は2年次以降に「論理国語」中心のカリキュラムになると見込まれていましたが、共通テスト対策として「文学国語」も履修する高校は多そうだという見方もあります。
授業として選択をしない場合でも、中学生やさらに早いうちから読書の習慣をつけ、語彙力や文法力、豊かな表現力を身につけましょう。
語彙・文法・論理力を鍛える「新国語講座」
新国語講座のトレーニング
近年のテスト・入試では、国語以外の教科でも長文や図表の読解が多く出題されています。
新国語講座では、「読解力育成」に焦点を絞り、「語彙力」「文法力」「論理力」をそれぞれ鍛えます。
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まとめ
『論理国語』『文学国語』どちらも実社会や実生活において必要な能力。
一方しか選択しない場合も不要と捉えるのは禁物!
- 「論理国語」「文学国語」に分かれた理由は、各教科等で育む資質・能力を明確化するため
- 「論理国語」では実用的な文章で学び、「文学国語」では近代以降の文学的な文章で学ぶ
- 入試では「論理国語」を選ぶ高校生が多い予想だが、新しい時代に必要となる資質・能力という点ではどちらも必要
今回の改定により高校生の授業だけでなく、今後中学生の授業や高校受験にも影響することが考えられます。「論理国語」など新しい国語の内容についてもチェックしておきましょう!