生きる力を育む「探究型学習」とは?

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昨今、「探究」という言葉を耳にすることはありませんか?

2022年3月に行われた高校の教科書検定で注目を集め、今年度から高校で授業・単位として採用されています。
問題意識から学びを深める「探究型学習」が「総合的な探究の時間」として必履修科目となり、多くの教科書に盛り込まれるなど、「探究」が中心的なキーワードとなりました。
小学校、中学校から「探究」を科目で実践することにより、将来的な学力が高まる可能性があることも分かっています。

今回は、生徒が課題を設定して解決を目指す「正解のない問い」といわれる「探究型学習」についてご紹介します。

「探究型学習」とは?

日々変化する社会では、正解は必ずしもひとつではありません。
何を学んでどのように働くのか、何を目指してどのように生きるのか。自分で自分の課題を発見して、自分なりの正解を自分自身で見出していく必要があります。

「探究型学習」とは「自らが課題を設定し、解決に向けて情報を収集分析する」「周囲の人と意見交換や協力をしながら進めていく学習活動」を指します。

社会や自分自身の将来のこととも結びつけながら、問題点やその解決策を探究する力を身につけていくのが、高校で行う「総合的な探究の時間」です。

「総合的な探究の時間」とは

「総合的な探究の時間」では、自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題を自ら発見し、自ら解決していく学びを展開していきます。
これらのプロセスは、各科目の中でも行っていきます。

どのような授業をして、どんなことに役に立つの?

「総合的な探究の時間」では、課題を設定し、その課題について自分の力で調べ、考察してまとめます。
これを繰り返すことで、「自分で問題を解決できる力」が身についていきます。

学力トップクラスの秋田県は「探究型授業」を実践

全国学力・学習状況調査で毎年好結果を残している秋田県では「探究型授業」が多く行われています。

20年以上前から行われていた秋田県の「探究型授業」

秋田県の「探究型授業」は、対話を生かしながら課題を解決していく授業方式で、国語や算数・数学等をはじめ、あらゆる科目で実践されてきました。
今年度から全国の高校で始まった「探究型学習」は、秋田県の授業をモデルとして考えられた授業方式であり、先駆けともいえるのです。

「探究型授業」を先取りしていた秋田県の学力は?

文部科学省が公表している「全国学力・学習状況調査」の結果によると、秋田県は第1回の調査以来、2020年度まで13年連続、小学校・中学校ともに国語、算数で上位3番以内に入るようなトップクラスの結果を出し続けていました。

小学校 総合平均値
(国語・算数 平均値の合計)

全国(国公私立)
135.2
全国(公立)
134.9
第1位 石川県 145
第2位 秋田県 143
第3位 東京都 142
第3位 福井県 142
第5位 京都府 141

中学校 総合平均値
(国語・算数 平均値の合計)

全国(国公私立)
122.4
全国(公立)
121.8
第1位 石川県 132
第2位 秋田県 128
第2位 福井県 128
第4位 東京都 127
第5位 静岡県 125

参照:文部科学省(国立教育政策研究所)令和3年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【都道府県別】小学校
文部科学省(国立教育政策研究所)令和3年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【都道府県別】中学校

秋田県の小学生は「国語、算数の勉強が大切」だと思っている

以下の図からも分かるように、秋田県の小学生は「国語、算数の勉強を大切だ」と考える子どもたちの割合が、全国平均に比べて非常に高い結果となっています。
この結果は、探究型授業が深く関係していると言われていて、課題を自分たちで解決したり、お互いの意見を尊重したり、その過程を自分たちの言葉で表現したりする中で、有意義な学びを実践できるようになっている可能性が高いと考えられます。

令和3年度全国学力・学習状況調査
回答結果集計[児童質問紙]
秋田県-児童(公立)

以下の集計値は、5月27日に実施した調査の結果を集計した値である。

児童数 学校数
秋田県(公立) 6,671人 181校

(44)国語の勉強は大切だと思いますか

当てはまる どちらかといえば当てはまる
秋田県(公立)の児童数の割合 78.3% 18.3%
全国(公立)の児童数の割合 69.6% 23.6%

(53)算数の勉強は大切だと思いますか

当てはまる どちらかといえば当てはまる
秋田県(公立)の児童数の割合 82.7% 13.8%
全国(公立)の児童数の割合 76.2% 17.8%

小学校、中学校から探究型の学習をすることによって、さまざまな教科の成績が上昇することが認められたのです。

課題探求テーマ例、問い

<探究テーマ>の例を見ても分かるように、探究活動では実生活から「問い」を見出し課題を立てます。
テーマに対して自分の意見を持ち、他の生徒と協力して分析やディスカッションを行いながら、自分なりの正解を相手に伝えることが重要です。

探究テーマ

  • 国際理解
  • 環境・地域
  • 福祉・健康
  • 職業・キャリア

問い

  • 世界の子どもの貧困の要因は?
  • 納豆は体内でどんな働きをもたらすか?
  • なぜ空の色は変化するのか?
  • 同調圧力が人の行動形成に与える影響は?
  • 動物との会話は可能か?

総合的な探究の時間の本質は、「探究の過程」であると言われていて、探究型学習のサイクルは4つの過程に基づいて指導されることになっています。

①実生活からの課題設定
②(課題解決に向けた)情報収集
③情報の整理・分析
④まとめ・表現

探究型学習に活用できる教材を紹介

よのなか科

正解がひとつではない課題をブレストやディベートを通して、本質的に考えることで「思考力」「判断力」「表現力」=情報編集力を養います。
映像とワークシートを使用したアクティブラーニング授業です。

FUTURE

実社会、実生活と結びつく様々なテーマに対して、主体的に課題を設定し、情報の収集や整理・分析をしてまとめるといった能力を育成するテキスト教材です。

まとめ

「正解のない問い」から、自分なりの「正解」を考え抜いてみよう

  • 課題を発見する「過程」、解決への「過程」を重視してみよう
  • 知識と情報収集を強化し「自分で問題を解決する力」を養おう

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