高校で必履修科目になった「情報Ⅰ」ってなに? これから必要な能力とは

この記事は3132文字です。
約3分で読めたら読書速度1200文字/分。

高校で必履修科目になった「情報Ⅰ」ってなに? これから必要な能力とは

2022年は高等学校教育にとって大きな節目となる年です。
4月1日より新しい学習指導要領の運用が始まり、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、高等学校の特色化・魅力化に向けた改革が本格的にスタートしました。

今回は、新学習指導要領の内容や、特に注目されている「情報Ⅰ」についてご紹介いたします。

新しい学習指導要領は何が変わった?

高等学校では、今年度の入学生から新学習指導要領が年次進行で実施されています。
新科目である「情報Ⅰ」「公共」「現代の国語」「言語文化」「理数探究」の新設など、教科・科目構成の見直しが行われました。
文部科学省は「主体的・対話的で深い学び」を実現するため、育成すべき資質・能力のことを以下「3つの柱」として提言しています。

1.知識および技能の習得
2.思考力、判断力、表現力
3.学びに向かう力、人間性の育成

また、「主体的・対話的に深い学び(アクティブ・ラーニング)」を実現するため「総合的な学習の時間」がありましたが、「総合的な探究の時間」へと変わり必履修科目となりました。
「総合的な学習の時間」は「課題を解決することで自己の生き方を考えていく学び」であるのに対して、「総合的な探究の時間」は「自己の在り方、生き方と一体的で不可分な課題を自ら発見し解決していくような学び」を指します。

「情報I」ってなに?

今回の改訂で注目されているのは「情報I」です。
「情報I」を新設した目的は、問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を育むためです。
「情報I」が新たに共通必履修科目として追加されたことにより、プログラミングなどのIT(情報技術)、投資や資産形成の授業が拡充されることになりました。共通テストにおいても2025年1月よりプログラミングを含む「情報」が出題される予定です。

情報Ⅰ (1)情報社会の問題解決
(2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング
(4)情報通信ネットワークとデータの活用

「情報」は教科として必修化されたのは2003年度で、プログラミングを含む「情報の科学」と、情報リテラシーを扱う「社会と情報」のどちらかを選択するようになっていました。「情報I」はこの2科目を統合し、全国の高校生がプログラミングやデータ分析に触れるようになります。

(1)Society5.0に向けて変化する社会

「情報」は教科として必修化されたのは2003年度で、プログラミングを含む「情報の科学」と、情報リテラシーを扱う「社会と情報」のどちらかを選択するようになっていました。「情報I」はこの2科目を統合し、全国の高校生がプログラミングやデータ分析に触れるようになります。

(2)情報科の目標は?

情報科では、情報に関する科学的な見方・考え方を重視するとともに、問題の発見・ 解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用するための知識及び技能を身に付け、実際に活用する力を養うことを目標と定められています。

(3)情報科で身に付けるべき資質・能力は?

以下3つとされています。

知識及び技能(何を理解しているか,何ができるか)
情報と情報技術を活用した問題の発見・解決等の方法や,情報化の進展が社会の中で果たす役割や影響,技術に関する法・制度やマナー,個人が果たす役割や責任等について,情報の科学的な理解に裏打ちされた形で理解し,情報と情報技術を適切に活用するために必要な技能を身に付けていること。

思考力,判断力,表現力等(理解していること,できることをどう使うか)
様々な事象を情報とその結びつきの視点から捉え,複数の情報を結びつけて新たな意味を見いだす力や問題の発見・解決等に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力を身に付けていること。

学びに向かう力,人間性等(どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか)
情報や情報技術を適切かつ効果的に活用して情報社会に主体的に参画し,その発展に寄与しようとする態度等を身に付けていること。

情報Ⅰのテストはどんな問題が出るの?

大学入学共通テストは、2025年度試験以降、新しい学習指導要領に対応した試験となります。
ここで、大学入試センターが発表している「情報Ⅰ」のサンプル問題を一部ご紹介します。

主な出題範囲は、高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の内容です。

  • (1)情報社会の問題解決
  • (2)コミュニケーションと情報デザイン
  • (3)コンピュータとプログラミング
  • (4)情報通信ネットワークとデータの活用

この問題では、東日本大震災後にまとめられた通信の確保に関する報告書を基に、情報技術の仕組みとその利点、情報社会と人の関わりやその課題に関連する理解を問うています。

「情報Ⅰ」でも役立つ力を鍛える速読トレーニングを紹介

日本速読解力協会の「速読解・思考力講座」では、「情報Ⅰ」でも役立つ基礎的読解力、処理能力、算数的思考力といった力を鍛えるトレーニングが収録されています。
ぜひ、トレーニングを体験してみてください。

速読解力トレーニング

思考力トレーニング

まとめ

情報Ⅰでは、情報と情報技術についての知識・技能、思考力、人間性などが求められます。

  • 自ら課題を発見し、自ら解決していく力が必要になります
  • 情報処理能力や思考力を鍛えましょう
  • 様々な角度から問題解決への道筋を考えられる力を養いましょう

関連キーワード

人気記事

時代とともに変化する!?日本の語彙
2023.02.17

言葉の意味は時代と共に変わる!?変化する日本語の語彙

日常の会話やコミュニケーションなど、生活に欠かせないのが母国語の『語彙』です。文化庁が実施した調査の結果でも、言葉やその使い方について、社会全般の課題があると答えた人が8割を超える結果となっています。

2024年度実施 大学入学共通テスト国語 文字数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 国語 文字数を分析 難易度は昨年並みだが、速読解力は必須

2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト1日目が行われました。国語は、文字数は昨年並み。出題意図が明確な問題が多かったものの、昨年同様複数の文章や資料を関連付けて答えを導き出す力が必要です。

2024年度実施 大学入学共通テスト英語 語数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 英語 語数を分析 3年連続6,000語超え

2024年度(令和6年度)大学入学共通テストが、2024年1月13、14日に行われました。リーディングでは3年連続で6,000語を超え、リスニングでは今年も非英語母語者が混じる会話や、グラフや図と絡めた出題がみられ、総合的な英語力が問われました。