学習意欲も向上!自分らしい生き方を考える「キャリア教育」とは?

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みなさん、近年「キャリア教育」という言葉を耳にしたことはありませんか?
「キャリア教育」というのは文部科学省が“自分らしい生き方を実現するための力の育成”を目指して推進しているものです。

「キャリア教育」の実際の内容や効果、学校現場の様子はどうなのでしょう?家庭でもできるのでしょうか?
この記事では「キャリア教育」を詳しくご紹介していきます。

キャリア教育ってなんだろう?

キャリア教育の定義

キャリア教育とは、文部科学省によって以下のように定義付けられています。

一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

つまり、「子どもたちに近い将来や遠い将来のことを意識させながら、教え、導いていく教育」ということになります。

そもそも「キャリア」とは

例えば、子どもたちは「息子や娘」であり、「サッカークラブの一員」「学習塾の生徒」であったりします。そして、一方では「小学5年生」であり「図書委員」「日直」という役割もあるかもしれません。

こういった様々な立場や役割はそれぞれが互いに関係し、また、生活の中で色々な形となって影響し合っています。これらの立場や役割の繋がりを総称して「キャリア」と呼びます。

2020年度から実施された新学習指導要領でもキャリア教育の推進が求められているようです。

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キャリア教育のねらいは?

キャリア教育では4つの能力(人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力)を伸ばすことが求められています。

人間関係形成・社会形成能力

多様な他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力

例)他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション・スキル、チームワーク、リーダーシップ等

自己理解・自己管理能力

自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする力

例)自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動等

課題対応能力とは

仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力

例)情報の理解・選択・処理等、本質の理解、原因の追究、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善等

キャリアプランニング能力とは

「働くこと」の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力

例)学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善等

参考:「職業教育及び進路指導に関する基礎的研究」
参考:「第1節キャリア教育の必要性と意義」

キャリア教育の効果は?

2020年3月に文部科学省が各学校の担任に行った調査では、充実した計画に基づいてキャリア教育を行っている学校ほど、子どもたちの学習意欲も向上する傾向にあることが分かりました。

※データを一部加工しています
出典:国立教育政策研究所 第一次報告書

また、キャリア教育については「キャリア・カウンセリング」や「キャリア・パスポート」といったものを活用していくことが望まれています。

キャリア・カウンセリングとは?

子どもたちが自分の意思と責任で進路を選択できるようにするために行う、指導援助のことです。
しかし、多くの学校の先生には「卒業直後の進路決定のための相談(面談)」と受け止められてしまい、十分に認識されていないという実態があるようです。

例えば「朝顔の水やり」の時間に、子どもたちに「どんな花を咲かせたい?」「そのためには何が必要?」など話しかけることも立派なキャリア・カウンセリングになります。
そうやって意図的に働きかけることで、行動に目的意識と責任感が生まれ、結果的に子どもたちが主体的に水やりをすることができるようになるのです。

キャリア・パスポートとは?

学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのことです。

※ここで言うポートフォリオとは「学習活動において児童生徒が作成した作文、レポート、作品、テスト、活動の様子が分かる写真やVTRなど」を指す

「具体的に何をした」「今度は何をする」といった項目や「そのときどう思った」「なぜこうしたい」といった項目などを尋ねることで、自分の行動を客観的に見るように促していきます。そして、後で振り返ったときにそのときの気持ちを思い出す手掛かりとなる記述がなるべく多くなるようにします。

出典:文部科学省

キャリア教育において、子どもたちが自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりできるようにすることはとても重要なことなのです。

参考:国立教育政策研究所

キャリア・カウンセリングやキャリア・パスポートを活用することで、自分自身で考える力が身に付き、学習意欲向上にもつながります

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実際に行われているキャリア教育は?

では、どのようなキャリア教育が行われているのか紹介します。

小学校でのキャリア教育

算数の時間

  • ペア学習の際に、ノートに書かれている式をそのまま読み上げるのではなく「どうしてそのように考えたのか」や、式の意味を説明させるように働きかける。
  • 聞く側は、自分の考えと比べたり、相手の説明の良い点を見つけたりしながら聞くことができるようにする。

総合的な学習の時間「見つけよう、今の自分、未来の自分」

  • 中学生の職場体験発表会を小学校で開催し、それを参観することによって将来への具体的な見通しをもたせるとともに、今の自分を振り返らせる。

中学校でのキャリア教育

未来の自分にインタビュー!

神奈川県の中学校では、「28歳になった自分」を想像し、「28歳」になったつもりで、ペアの相手からインタビューを受けるプログラムを行っています。

出典:キャリア教育・進路指導に関する総合的実体調査
出典:神奈川県 福祉子どもみらい局 共生推進本部室

高校でのキャリア教育

生徒自身が主体的に行うインターンシップ

大分県立日田三隈高等学校(総合学科)では、2年生が「夏の活動」として、セルフプロデュース形式のインターンシップに取り組んでいます。

体験先の選定や依頼、体験内容の交渉、体験中の自己管理、報告書・礼状の発送、発表会の資料作りまで、インターンシップに関するほとんどを生徒自身が主体的に行います。

出典:文部科学省 国立教育政策研究所

キャリア教育を通じて子どもたちが学校での学習と自分の将来との関係を深く考え、学習意欲をかきたてられること、そして、先生方は日々の学習を通じて、子どもたちが今学んでいることを将来社会で役立てられるようにしっかりと身に付けさせることの両方が重要です。

キャリア教育は職業への意識を高めたり、生き方や進路を真剣に考えたりする良い機会に繋がるのです

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塾や学校で!キャリア教育に活用できる教材をご紹介

物事の本質を考え、情報編集力を養う「よのなか科」

「よのなか科」は、民間人から初めて校長を務めた藤原和博氏が提唱した、知識と実際の世の中との懸け橋になる授業です。「どうすれば稼げる大人になれるのか?」「面接試験に合格するコツは?」「いじめや自殺や体罰について親や先生がダメだって言うだけで止まるも のだろうか?」などをテーマに、正解がひとつじゃない課題をブレストやディベートを通して、本質的に考えることで「思考力」・「判断力」・「表現力」=情報編集力を養います。


今を読み解き、みらいを考える「FUTURE-思考力・表現力講座―」

予測困難な社会の中で、何を学び、どのように働き、どう生きるか。正解は必ずしもひとつではありません。「FUTURE」は自ら考え、調べ、一緒に学ぶ仲間との議論の中で、自分自身の最適解・納得解を見出し、思考力・判断力・表現力を育成します。また、自分と向き合うことで未来を考えるきっかけにつなげます。

家庭でも自分の将来を考える!おすすめの本

  • 大人になったらしたい仕事
    「好き」を仕事にした35人の先輩たち

    朝日中高生新聞編集部(朝日学生新聞社)

    「自然や動物が好き」や「食べるのが好き」など「好き」で思い当たるページをめくると、その「好き」を仕事に結びつけた先輩たちのインタビューが載っています。その仕事に就こうと思った理由や、仕事の楽しさ、大変なことなどが事細かに書かれており、その仕事の本質がとてもイメージしやすい一冊です。

  • 子どもだって哲学⑤
    仕事ってなんだろう

    矢崎 節夫ほか(佼成出版社)

    「収入を得る」ためだけではない、「仕事」における様々な人の考えが記されています。絵本作家、女流棋士や探検家など5人の方々の言葉によって構成され、「世の中にどのような仕事があるか」よりもっと深いところにある「働くことそのもの」についての理解を深めることができる一冊です。

  • 新13歳のハローワーク

    村上龍(幻冬舎)

    将来就きたい職業がまだ決まっていない人は、まずこの本で身近な「得意科目」から職業を絞っていきましょう。誰だって好きであったり得意であったりする科目があるかと思います。その好きや得意な科目の項目を引けば、その分野に関わる仕事を見つけられるようになっています。

キャリア教育では、子どもたちに「夢や目標を実現するために学ぶことが大切である」ということを気付かせることを目指します。

家族で将来の仕事について話し合ったり、お父さんやお母さんの仕事の話をしてあげたりすることも立派なキャリア教育になります。コミュニケーションを上手く取りながら、子どもたちに将来を考えるきっかけを与えていきましょう。

まとめ

キャリア教育とは「子どもたちに近い将来や遠い将来のことを意識させながら、教え、導いていく教育」

  • キャリア教育は4つの能力(間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力)を伸ばすことが目的
  • キャリア教育で子どもたちの学習意欲向上が期待できる
  • 家庭でも親子コミュニケーションを取りながら、キャリア教育を行うことができる

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