【高校生編】新学習指導要領で授業が変わる~探究型学習って何?~
公開日:2020.07.27
最終更新日:2021.07.07
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高校では新学習指導要領に沿った授業が2022年から実施されます。特に大きな変更点として「探究型学習」を重点的に置いた学習内容が挙げられます。
具体的に「探究」の授業はどんな流れで、どういったテーマを扱うのでしょうか。
今回はそんな「探究型学習」の内容について詳しく調べてみました。
目次
学習指導要領の「三つの柱」とは?
新しい時代を生きる子どもたちに必要な力
新しい学習指導要領では、「子どもたちが自分で未来を切りひらいていけるように、生きていくための資質・能力を育んでいく」ことを重視しています。その「生きる力」を三つの柱として掲げています。
文部科学省:平成29・30年改訂学習指導要領のくわしい内容
- 学びに向かう力・人間性の育成(学んだことを社会で活かす)
- 知識・技能の習得(社会で生きて働く)
- 思考力・判断力・表現力(未知のことにも対応できる)
すべての教科でこの「三つの柱」に基づき、それぞれの教科の授業内容や教科書も新しい学習指導要領に沿った内容に再編成されました。
また、「どのように学ぶか」ということにも重きを置いていて、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の実現を目指しています。
高校生では7つの「探究」科目を設置
2022年から実施される学習指導要領の改定では「探究」が中心的なキーワードとなっています。
- 「古典探究」
- 「地理探究」
- 「日本史探究」
- 「世界史探究」
- 「理数探究基礎」
- 「理数探究」
「理数探究基礎」「理数探究」は、数学と理科にまたがる新たな教科「理数」に新設される科目です。
単純に知識を覚えるといった学習から、資料を元に情報を適切かつ効率よくまとめる技術が求められるようになります。
その他に、今までの「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に換えて導入されます。この科目は必履修科目となります。
「探究型学習」とは「自ら学び自ら考える力」を育てる学習
「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」を重視
探究」とは「物事の真相・価値・在り方などを深く考えて、すじ道をたどって明らかにすること
「探究型学習」とは、単に暗記するだけの勉強法ではなく、「自ら立てた問いの課題を解決するために、情報収集等のプロセスを立てながら解決へと導く能力を育んでいく学習のこと」を指します。
「探究型学習」は「アクティブラーニング」で行われる?
新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の実現を目標に掲げており、その学習法が「探究型学習」内で取り入れられていきます。
「主体的・対話的・深い」というそれぞれの学びについては、以下のように定義づけられています。
主体的な学びとは
学ぶことに興味や関心を持ち、自身の将来に関連づけながら、粘り強く取り組み、次につなげる学習のこと対話的な学びとは
生徒・教員・地域の人との対話を通じて、今までの考え方を手掛かりにして、自己の考えを広げ深める学習のこと深い学びとは
知識を関連付けながら深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題発見と解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習のこと
例えば「理数探究」という科目の場合は、提示されたテーマについて理科や数学の見方や考え方に基づきながら、課題の設定から発表までを行います。
つまり、「探究型学習」はアクティブラーニングの「深い学び」に重点を置いた学習内容だと言えるでしょう。
高校生の必修科目「総合的な探究の時間」の内容とは?
総合的な学習の時間と総合的な探究の時間の違い
これまで、小学3年生から高校3年生までの授業内容を「総合的な学習の時間」としていました。
今回の改訂で、小学校・中学校で「総合的な学習の時間」を、高校では「総合的な学習の時間」で育んだ知識を、探究的な活動に活かしていくために「総合的な探究の時間」を設けることとなりました。
総合的な学習の時間とは
探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(後略)総合的な探究の時間とは
探究的の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(後略)
少し言葉の順番が違うだけのようにも感じますね。
つまり、小中学校で学習したことを、社会や自分自身の将来のこととも結びつけながら、問題点やその解決策を探求する力を身につけていくのが、高校で行う「総合的な探究の時間」です
将来の目標を意識しながら、課題を見つけて解決していくってことだね!なんだか、社会人になってからも役立ちそう!
具体的にはどんな流れやテーマでするのかな?
「総合的な探究の時間」ではどんな授業をするの?
課題解決に向けての行動を繰り返し行う
「総合的な探究の時間」では、課題の設定~まとめ(相手に伝え、表現する)までの一連の行動を繰り返し行っていきます。これらのプロセスは、各科目の中でも行っていきます。
①課題の設定…体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
②情報の収集…必要な情報を取り出したり収集したりする
③整理・分析…収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
④まとめ・表現…気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する
目標を実現するにふさわしい探究課題がテーマになる
目標を実現するにふさわしい探究課題については,地域や学校の実態、生徒の特性等に応じて、例えば、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題、地域や学校の特色に応じた課題、生徒の興味・関心に基づく課題、職業や自己の進路に関する課題などを踏まえて設定すること。
つまり、具体的なテーマは地域や学校の特性により設定され、その中で生徒自身が課題を発見していくことになります。もちろん、「総合的な探究の時間」のテキストなども各社が出版していますので、例として探究のテーマをご紹介します。
探究テーマ例
- どうすれば稼げる大人になれるのか?
- 面接試験に合格するコツは?
- いじめや自殺や体罰について親や先生がダメだって言うだけで止まるものだろうか
- やりたい仕事の本質に迫ろう!
- これからの社会で求められる力やスキルとは?
- その情報、大丈夫?
2022年春には、普通科が再編され「地域探究学科(仮称)」が新設される方針を文部科学省が固めました。
今後は各教科において、知識力が試される学習よりも、課題発見力と提示力に重点を置いた学習がさらに必要とされていきます。
探求型学習に活用できる教材を紹介
正解がひとつじゃない課題をブレストやディベートを通して、本質的に考えることで「思考力」・「判断力」・「表現力」=情報編集力を養います。映像とワークシートを使用したアクティブラーニング授業です。
実社会、 実生活と結びつく様々なテーマに対して、主体的に課題を設定し、情報の収集や整理・分析をしてまとめるといった能力を育成するテキスト教材です。
まとめ
普段から「課題を発見」し「自分の考えを相手に伝える」習慣をつけよう
まずは普段の生活の中で「なぜ」を探してみましょう。 その「なぜ」に対して「どうしたら解決するのか」を持っている知識と情報収集から導き出し、家族や身近な人たちと話す機会を持つことで、学習面で自然と活かすことができるようになりますよ。