読解力を鍛えるには?問題にチャレンジして読み解く力をチェック
公開日:2020.02.27
最終更新日:2024.08.30
この記事は3813文字です。
約3分で読めたら読書速度1200文字/分。
みなさんは自分の読解力がどのくらいなのか、知っていますか?まずは実力を知ることが読解力向上の第一歩です。読解力は、普段の学習や入試、社会に出てからも必須の力です。
本記事では、家庭でも実践できる読解力を鍛えるための方法もご紹介します。
目次
読解力とは?
日本人の読解力は低下している?
国際的な学習到達度に関する調査をしている経済協力開発機構(OECD)では、読解力を以下のように定義しています。
読解力の定義
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。 <測定する能力>「①情報を探し出す」「②理解する」「③評価し、熟考する」
その経済協力開発機構(OECD)が2022年に81の国と地域の15歳児を対象に行った学習到達度調査(PISA)によると、日本の高校生の読解力が2018年の15位にから3位に上昇しました。平均点も2018年504点から、516点に上昇しています。
しかし、今回の調査では、論理の把握が不十分であったり、データを正しく読み取れていなかったりすることで正答率が低い問題もありました。
今後も広い意味での読解力を向上させていく必要性はあると言えるでしょう。
読解力を鍛えるメリット
読解力は国語だけでなく、すべての教科で役立ちます。社会人になってからは資料を読み、分析し、まとめといった時に役立ちます。また、学習や仕事だけでなく、コミュニケーションを取る際にも必要となってきます。
・普段の学習を効率よく行える
読解力を鍛えることで、教科書の内容を理解しやすくなり、学習の効率化に繋がります。
・テストや入試で役立つ
時間の限られたテストや試験の場面では、速く正確に読み解く力が求められます。
・コミュニケーション時のトラブルが減る
メールやチャットでの連絡の際に、読解力を身につけられていれば不要なトラブルを避けることができます。また、会話の際にも、相手の伝えたい内容を的確に理解することに繋がるでしょう。
皆さんは、自分の読解力がどのくらいか把握していますか?
読解力を鍛えるためにも、まずは自信の力を知ることが大切です。
難問?!読解力テスト3問に挑戦しよう
読解力問題 問1
以下の文を読みなさい。
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
Alexandraの愛称は( )である。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子著 東洋経済新報社
短い文章ですが、よく読まないとわからない問題ですよね。
この問題における中学生(235名)の正答率は、たったの37.9%。 高校生(432名)の正答率は64.6%でした。
続いては、大人にも誤答が多かったという問題です。
読解力問題 問2
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
セルロースは( )と形が違う。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子著 東洋経済新報社
近年の高校入試では、教科に関係なく複数の図表を読み解く問題が出題される傾向があります。
読解力問題 問3
次に示された発電量の内訳の比率を表したグラフをもとに考えたとき、文の内容は正しいか正しくないかを答えなさい。
石炭と石油の発電量を合わせても、天然ガスの発電量以下である
(C)SRJ ※5/2〜5/15に掲載していた回答に間違いがございました
このように、文章をすらすら「読む」ことができたとしても、そこで述べられていることを正しく理解し、内容を把握できているとは限りません。文章を「読み解く」とは、言葉の意味や働き、文法などをふまえて、文章の構造を正しくつかみ、内容を理解することなのです。
近年、このような基礎的な読解力が低いために、教科書レベルの文章を正しく読めていない生徒たちが多くいると問題視されています。
- 読解問題よみとくん 6種の読解力問題に挑戦し、基礎的読解力を測ることのできる無料ツールです。
家でもできる、読解力を鍛える方法は?
では、読解力を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。読解力を向上させるためのいくつかの方法をご紹介します。
読書で正しく文章を読む練習をする
まずは文章を正しく読む必要があります。そのためには内容を理解していない「飛ばし読み」や「斜め読み」をしないように、前から順番に読むことが大切です。
どうしても飛ばして読んでしまうくせがついている人は、ペンで追いながら読んだり、線を引きながら読むといいでしょう。
また、言葉の意味や文法を正しく理解しておくことも大切です。
文章を要約する
つぎに、読解力を向上させるための練習として「要約」が有効と言われています。文章を短くまとめるためには内容を正しく理解し、別の言葉で置き換える必要があります。本や文章、ニュースを短くまとめる練習をしてみましょう。
文章にするだけでなく、日常の会話で他の人に「簡潔に説明」するというのも練習になるでしょう。
ディスカッションをする
ディスカッションと言っても難しいことをするわけではありません。テレビやニュースで見たことや、読書の感想などについて意見を言い合うこともディスカッションです。
「自分は〇〇と感じたけど、あなたはどう感じた?」「なんで〇〇になったと思う?」など、気軽に意見を交わしてみましょう。自分とは違う意見や考えを持った人との会話を繰り返すことが、相手の考えを理解することや、自分の意見を要約して伝える訓練になります。
2021年1月から実施されるの大学入学共通テストでは「記述式」の導入は見送られましたが、大学別の入試や高校入試、定期テストではこういった文章を要約する記述問題が出題されています。
読解力を向上させることを日頃から心がけることで、入試やテストで役立つ読解力を身につけたいですね。
読解力を段階的に鍛えるトレーニングをご紹介
日本速読解力協会が提供する「速読解力講座」では、読解力を体系的にトレーニングします。
短い文章から始めて、図入りの問題や長文問題などレベルアップしながら読解力の向上を目指します。
基礎的読解力トレーニング(例)
まとめ
自分の読解力を知って、トレーニングしよう
- 読書で読み飛ばしたりななめ読みをしないようにする
- 読書した内容やニュースを「要約」する
- 短い文章の読解力問題から解く練習をする
読解力は全ての教科や仕事・会話で必要な力です。特に、これからのテストでは複数の資料や会話文を読んで解く内容が出題されます。
読解力を具体的に測る機会はなかなかないかもしれませんが、このページの読解力テストで答えを間違えた人、解くのに時間がかかってしまった人は読解力トレーニングに挑戦してみましょう。
監修
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。