元塾講師が教える!英語の苦手別おすすめの勉強法【英語が苦手な中学生へ・前編】
公開日:2025.03.19
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小学生から学習している「英語」。指導要領が変わり、昔の中学校英語に比べるとレベルはアップしています。
「なんとなく英語が苦手…」と感じている人も多いかもしれません。
ただ、一言で「苦手」と言っても、「何が苦手なのか」をしっかり分析することで、対応できることはたくさんあるはずです。

ライター
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
苦手内容別アドバイス
ここでは、苦手だと感じる内容別に、オススメの学習内容や方法についてお伝えします。
ここに書いてあることをしっかり実行することで、英語の苦手を克服していってください。
「なんとなく英語が苦手だ」ではなくて「自分はどこのどういう部分が苦手なのか」を考えるようにすると、解決のポイントが見えてくると思いますよ。
まずは次のチェック表を使って、自分の苦手を分析してみましょう!
チェックが多くついたものが、あなたが英語を苦手だと感じている部分です。
単語がわからない(覚えていない)
学習する単語数が増えているので、それらを「覚える」ことができていない人が増えているようです。
単語がわからなければ「文」がわかるわけはありませんから、単語の学習が重要であることは言うまでもありません。
まず「単語がわかる」というゴールはどういう状態でしょうか。
- つづりを正しく書けること
- 発音を聞いて意味がわかること
- 文字を見て意味がわかること
- 実際に使える(書ける・話せる)こと
以上の4つができるようになったら「単語がわかる」と言えるでしょう。
ただ、専門的な用語などで自分で使うことがない単語のような場合には、上から3つ目までができていると理想ですね。
では、これらを達成するためにはどうやって勉強すればいいでしょうか。
「つづりを正しく書ける」ためには、実際に手を動かして書くことが必要です。
漢字練習をするときに何回も書いた経験がある人もいるかもしれませんね。その時と同じように、何度も書くようにしましょう。
ただ、この時に大きなポイントがあります。それは必ず「音」と「意味」を理解しながら練習するということです。
音や意味も理解していない状態で単語を何度も書いていても、それはアルファベットのまとまりを練習しているだけで、「単語がわかる」状態とは言えません。
単語を練習するときに、音と意味も含めて学習をすると、2点目の「発音を聞いて意味がわかる」、3点目の「文字を見て意味がわかる」が同時に達成できるようになりますよ。
ここまで来れば、覚えた単語を「実際に使う」という場面に進むだけです。わかった単語はぜひ実践の場で使ってみるといいですね。
聴けばわかるけど読めない
これは「流れてくる英語の音声を聞けばわかるが、文字で書かれるとわからない」というケースです。
音声を多く使って勉強していた小学生の時にはよく理解できていたが、文字だけで書かれた文章だと意味がわかりにくいなと感じるのは、中学生の前半でよく起こるようです。
これには2つの理由があります。
①文の中の意味の切れ目がわからない
人間は呼吸をしないといけないので、話せる長さには限界があります。では、どこで区切って(息を吸って)読むかと言えば、意味の区切りを意識して読んでいます。
意味が区切られた状態で「聴くこと」は理解できているが、区切りがわかりにくい状態で「読むこと」は難しく感じてしまうという状態です。
②そもそも文字と音を結び付けられていない
文字を見ても「いくつか知っている単語はあるけど、あとはアルファベットが並んでいる…」と感じてしまう状態です。
音と意味は結び付けられているが、それが文字と結びついていないことが原因で起こる状態です。
では、これらの2つを解決するためにどうしたらよいでしょうか。まずは②を解決しなくてはいけませんね。
単語を覚える時には必ず「音」「文字」「意味」の3点セットで学習することを意識してください。「音を聞く→文字が書ける/意味がわかる」「文字を見る→音がわかる/意味がわかる」「意味を見る→音にできる/文字が書ける」ということを丁寧に進めることが重要です。
繰り返しになりますが、必ず「音」「文字」「意味」の3点セットを意識して学習を進めてください。
読めるけど聞けない
これは先ほどとは逆で「文字で読むことはできるけど音になって流れてくるとよくわからない」というケースです。「リスニングが苦手」という人はこのパターンになりますね。
この原因は3つあります。
①音と意味が結びついていない
ここまでにも説明をしている通り、「音」と「意味」がしっかりと結びついていないと、音声を聴き取ることはできません。
単語を学習するときに「音」を使って学習すること、それと「意味」を正しく結び付けて学習することが重要です。
②英語の音のスピードに慣れていない
実は①よりも前に、これで苦労している人の方が多いかもしれません。
カタカナで「ストライク」と言う時は「su・to・ra・i・ku」と5拍(手拍子をしながら読めますね)になりますが、英語で strike と発音する時は手拍子1回で発音し、日本語の「ストラ…」のように途中で切ることはできません。これが英語の音が速く聞こえる一番の原因です。
歌の中で、英語の歌詞の部分がとても速く発音されると感じたこともあるでしょう。
英語の音声にたくさん触れていかなければ、英語の音声に慣れることはできません。意識してがんばっていきましょう。
③音の変化に慣れていない
1つずつの単語は聴きとれるのに、まとまった語になると聴きとれないという人もいますね。
例えば「第一に」の意味の first of all という表現、first も of も all もわかるのに、first of all となると「ファースタボール」のように聞こえてしまって何が何だか分からない…ということが起きます。
このように、前後の単語が連続して発音されることもあります。
また、pudding という単語はゆっくり発音すると「プディング」ですが、速く発音すると「プリン」のように聞こえます。
これは発音のスピードが変わったことによる音の変化ですね。
連続したときの音の変化や読まれるときの音の変化に関しても、日頃から英語の音声に触れることで慣れることができます。
これら3つの原因を解決するためには何ができるでしょうか。
①は先にもお伝えしている通り、単語を覚える時には必ず「音」「文字」「意味」の3点セットで学習することが重要です。
②と③は日頃から意識して英語の音声に触れていくことが重要なのはわかると思います。
ただ、漠然と英語の音声を聞くだけでなく、すでに意味がわかっている文章を読むときに、文字を見ながら音声を聞くようにすると、英語の音声の特徴に対するいろいろな気づきが生まれるはずです。
英語を表現できない
英語を読んで意味を理解することはできるのに、いざ英語で表現しようとすると何から話せばよいのかわからなくて困ってしまう人もいます。
文章でまとまった形での英語を表現することもそうですが、一文で表せる内容でも筆が止まってしまう人がいます。
これは、英語の語順が理解できているのに、表現するための順番で頭に入れられていないということが原因です。
じっくり読むときには「ここは主語で…」と考える余裕がありますが、表現するときには次から次へと言葉を紡いでいかなければなりません。
英語の語順のルールに従って必要な情報をアウトプットしていくことがポイントです。
そのためには、英語の文章を読んでいく中で、自然な表現の順序を身体に染み込ませることができるとよいでしょう。
なかなか英語の文章を読むことが難しいという場合には、まずは「だれが」+「どうする」+「なにを」という順番で次々に表現していく練習から始めてみるといいでしょう。
あわせて、定型表現と呼ばれますが、「決まった言い方」をたくさん身につけられると表現するときに困ることが減るでしょう。
例えば「傘をさす」を表現しようとしたときに「傘=umbrellaはわかるけど…、さす=??」と悩んでしまうかもしれません。
正解は「傘をさす」は英語では open an umbrella と言いますが、この「正解の表現」を知っていると、必要な時にパッと表現できるようになりますね。
前編のまとめ
さて、ここまで「英語が苦手」と感じているケースの「苦手内容」にあわせて、その理由と解決のヒントをいくつか紹介してきました。
後編では、細かな「苦手内容」に対するアドバイスではなく、もっと広い視点でのアドバイスをお送りできればと考えています。後編もぜひお読みください。
後編はこちら。
速く正確に読む・聴く力を鍛える「速読聴英語講座」
「速読聴英語講座」では、自分の読むスピード(wpm)をもとに、速読トレーニングで目の動かし方や、英語のスラッシュリーディングなど、読み方のテクニックをトレーニングすることができます。
リーディングとリスニングの2技能に特化したトレーニング。「音」と「つづり」と「意味」をセットで勉強できます。
レベル別に英文を多数収録!初心者から大学受験生まで幅広く「読む」「聴く」のインプットをすることができます。
- 速読聴英語講座【中学生向けトレーニング】 英文を速く正確に読む・聴くためのリーディングとリスニングの2技能に特化したトレーニングで、受験にも役立つ英語長文読解力を鍛えます。
- 体験教室を検索 速読聴英語講座を体験できる教室を全国から探すことができます。
まとめ
「英語が苦手」と一言で片づけず、「何が」苦手なのか分析して学習しよう!
- 苦手な内容別におすすめの学習方法は異なる
- 「音」「文字」「意味」をセットで学習しよう
英語が苦手だと感じたら、細かく「どの部分」が苦手なのか考えてみましょう。単語のつづりは覚えているけれど発音と結びついていないのか、読んで理解できるけど表現はできないのか……人によって苦手な内容は様々です。紹介した内容別のアドバイスを元に、苦手を克服しましょう!