【新課程初年度】2025年度実施の大学入学共通テスト国語:文字数は昨年並みだが、速く情報処理する力は必要

この記事は2900文字です。
約2分で読めたら読書速度1200文字/分。

2025年1月18日、2025年度(令和7年度)大学入学共通テスト1日目が行われました。
国語の文字数は昨年並みでしたが、25,000字を超える分量でした。大問構成は実用的文章を含む5問構成になり、試験時間は10分増えましたが、解答数は昨年と同じでした。(SRJ調べ)

全体として選択肢が4つの設問が多く、その点は読むうえでの負担減につながったと思われますが、複数の文章や資料をもとに思考力を問う問題も出題されており、正解を見極めるための時間が短縮されたというわけではありません。
高得点をおさめるためには、制限時間内に速く正確に読み解く力が必須であったといえます。

速く正確に読み解く力をトレーニング

速読解力講座

高校生向けトレーニングはこちら

文字数は約25,460文字。実用的文章では言語活動を重視した問題が出題

文字数は大問1 論理的文章が約7,300文字、大問2 文学が約7,930文字、大問3 実用文が約4,380文字、大問4 古文が約3,640文字、大問5 漢文が約2,210文字でした。
合計は約25,460文字と昨年から約1,330文字増えました。

大問1の評論と大問2の文学的文章は、数年続いた複数テキスト型の出題ではなく、一つの文章を正確に読み取る力が求められる出題でした。
大問3の実用的文章では複数の資料が提示され、設問はすべて文章の加筆・修正に関するものでした。文章や資料の内容は平易でしたが、すばやい情報処理力や、指示にしたがって「適当でないもの」を選ぶ慎重さが必要でした。文章から必要な情報を見つけるだけではなく、その情報をもとに論理を組み立てる思考力も求められました。
大問4の古文と大問5の漢文は複数テキスト型の出題でした。複数の文章の共通点・相違点を読み取る設問や、生徒同士の話し合いの設問は共通テスト以降定番化しており、今後も継続して出題されると考えられます。

全体を通して文章読解において難しい問題は少なかったものの、高得点をとるためにはいかにすばやく情報をつかんで処理できるか・的確に読み解けるかが重要であったといえます。

原稿用紙63枚分の内容を読み解くためには時間配分が大切

試験では、解く時間や書く時間に約6割が必要と言われています。
2025年度の国語の文字数は25,460文字で、原稿用紙63枚分です。日本人の平均読書速度は500〜600文字のため、通常の速さで読んでいては解く時間が足りなくなってしまいます。
制限時間のある試験では読書速度の違いによって時間配分に大きな差が生じます。

余裕を持って試験に取り組むためには、平均読書速度(1分間に500文字)の2~3倍が必要です。

国語以外でも資料読解力が求められる

2025年度から新課程対応となり、科目にも変更がありました。
「公共、倫理」「公共、政治・経済」では文字数が約25,000文字で、平均読書速度(1分間に500文字)で読むと約50分かかるため、解く時間が圧倒的に足りません。特に社会科目では、資料やメモ、会話文などが多く、その分文章量も多い傾向にあります。

また、化学と生物では昨年に続き10,000文字超、今年から導入された情報Ⅰは約13,150文字でした。

どの科目でも、知識だけでは解答できない、資料の情報や文脈をふまえて思考させる問題が出題されています。
問いの形式についても、「当てはまるものをすべて」選ぶものや「組み合わせとして正しいもの」を選ぶものなど、正解の吟味に時間が必要なものもあるため、その時間を確保するためには、すばやく文章や資料を読み取って処理する力が必要だといえます。

来年度以降の受験生の皆さんへのアドバイス

共通テストでは、複数の資料や会話文を組み合わせて思考力を問う問題が定着してきました。一方で、今年の国語大問1・大問2のように、一つの文章で正確に・深く読み解く力を要する問題も出題されています。
正確に読み解く力とすばやい情報処理力・論理的に思考する力が高得点をとるためには必要です。

正確に読み解く力とすばやい情報処理力を鍛えるには

どのような題材であっても、「文章や資料を正しく理解したうえで、設問で求められていることに合致する選択肢を選ぶ」ことが求められていることに変わりはありません。
基礎的な知識をしっかりと身につけたうえで、多様な文章や資料に読み慣れるとよいでしょう。

また、設問で問われている内容は文章や資料のなかに散らばっています。時間内に解き切るために、普段からどこで・どのような情報が示されているかをすばやくおさえる練習を重ねましょう。

論理的に思考する力を鍛えるには

思考と一口に言っても、「文章や資料から何が言えるか」「情報をどう伝えるとよいか」「複数の情報同士のつながりや違いは何か」など、パターンはさまざまです。知識の暗記で太刀打ちできない部分であるため、普段から文章や資料を読む際に「別の見方はできないか」「より分かりやすい説明方法はないか」など意識してみることが有効です。

読む正確さとスピードが速いほど、選択肢の吟味に使える時間も多く確保できます。試験本番の情報量にも対応できるよう、日ごろから正確かつ速く読み解く練習や論理的に考える練習を行うようにしましょう。

まとめ

新課程でも時間との勝負。速く正確に読み解く力が高得点のカギに

  • 国語の文字数は約25,460文字で昨年並みだが、依然として分量は多い。
  • 複数の文章や資料を読み取ったうえで、論理的に考える力が必要。
  • 単独の文章を題材に、読解力を重視しているとみられる問題も依然として存在している。
  • 選択肢吟味の時間確保のため、文章や資料の情報を速く正確に処理する力が必要。

共通テスト制限時間の中で膨大な文字数を読まなければならない状況は依然として続いています。
また、複数の文章や資料から情報を把握したうえで論理的に思考する力が試される問題も出題されていることから、正答を吟味するための時間を確保するために、速く正確に読み解く力はこれまで以上に重要であるといえます。
単なる知識だけでは解けない問題も見られ対策のしにくさはありますが、早いうちからさまざまなジャンルの文章や資料に触れたり、読む際に内容の伝え方や要点などを色々な角度から考えたりするとよいでしょう。

速く正確に読み解く力をトレーニング

速読解力講座

高校生向けトレーニングはこちら

関連キーワード

人気記事

時代とともに変化する!?日本の語彙
2023.02.17

言葉の意味は時代と共に変わる!?変化する日本語の語彙

日常の会話やコミュニケーションなど、生活に欠かせないのが母国語の『語彙』です。文化庁が実施した調査の結果でも、言葉やその使い方について、社会全般の課題があると答えた人が8割を超える結果となっています。

2024年度実施 大学入学共通テスト国語 文字数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 国語 文字数を分析 難易度は昨年並みだが、速読解力は必須

2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト1日目が行われました。国語は、文字数は昨年並み。出題意図が明確な問題が多かったものの、昨年同様複数の文章や資料を関連付けて答えを導き出す力が必要です。

2024年度実施 大学入学共通テスト英語 語数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 英語 語数を分析 3年連続6,000語超え

2024年度(令和6年度)大学入学共通テストが、2024年1月13、14日に行われました。リーディングでは3年連続で6,000語を超え、リスニングでは今年も非英語母語者が混じる会話や、グラフや図と絡めた出題がみられ、総合的な英語力が問われました。