【共通テスト】英語はどう対策すればいい?特徴からわかる攻略のポイント!

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「約6,300語の長文のテストを80分で解かなければならない」
…いったい何のことかわかりますか。
この記事を読もうとクリックした人であればなんとなく想像がつくかもしれませんが、2024年1月に実施された「大学入学共通テスト」の英語(リーディング)の総語数です。

ただ「約6,300語」がどれくらいの分量だかわからないかもしれません。
現在使用されている英語の教科書の語数をカウントしてみると、中1で約2,500語、中2で約3,500語、中3で約4,000語でした。
「中1と中3の教科書の合計2冊分を80分で読んで解く試験」と言われると、大学入学共通テストのボリューム感がわかるかもしれません。

今回は、大学入学共通テストを中心に、大学入試の英語の特徴やポイントについて解説していきます。

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一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

ライター

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

大学入学共通テストとは

大学入学共通テスト(略して「共通テスト」や「共テ」と表されることもあります)は、2021年度から導入された試験です。
知っている人も多いかもしれませんが、2020年度までは大学入学センター試験(単に「センター試験」と呼ぶこともあります)が行われていました。
保護者の方の中には「センター試験」を受けた方も多いかもしれませんね。(余談ですが、その前は「共通一次」と呼ばれるテストが行われていました)

試験は2日間にわたって行われ、英語は1日目に実施される

試験は1月13日以降の最初の土曜日とその翌日の日曜日に実施されることになっていますので、第2週目または第3週目に実施されます。
2024年は1/13・14に実施されていて、これは第2週での実施でしたが、2025年は1/18・19に実施される予定で、これは第3週の実施予定です。

2025年実施の時間割は、2024年と同様、1日目が文系科目、2日目が理系科目になります。
2日間とも朝9:30から試験が始まり18:00過ぎまで、丸2日間の長丁場です。
英語は1日目の最後の科目として実施され、リーディングの試験の80分の後、40分間の休憩を挟んでリスニングの試験が60分間(解答時間は30分間)行われます。

試験科目は「7教科・21科目」になる(2025年度~)

2024年は「6教科・30科目」でしたが、2025年は「7教科・21科目」に変更になります。
7教科とは「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」「情報」です。
科目についてはここでは割愛いたしますが、2025年からは「情報」が入るという話題を目にしたことがある人がいるかもしれませんね。

英語は「外国語」の科目の1つで、英語以外にも「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」を選択することができます。
英語以外の科目は筆記試験のみでリスニングはありません。受験する人数も少ないので、もし英語以外の言語で受けたいと考えている場合には高校の先生などに必ず相談しましょう。

共通テストの英語

ここでは、共通テストの英語に関して、その問題構成などを解説します。
一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

日本速読解力協会理事 安田

問題文の指示は「すべて英語」で行われる

2020年度までも基本的に英語でしたが、共通テストになってからは各大問の指示も完全に英語になっています。
ただ、ここに書かれている「指示」の英語は比較的易しいですし、問題のパターンを過去問で練習していればどのような指示が出されているかわかるはずなので、ここに関してはあまり心配はいらないかもしれません。(安心できるように過去問は一度目を通しておいた方が良いですね)

すべて長文読解である

センター試験の時には、第1問で発音・アクセント、第2問で空所補充や整序作文、第3問で不要文の指摘や会話の空所補充の問題が出題され、第4問以降で本文内容に関する設問が出題される「長文読解」が出題されていました。

共通テストでは、発音・アクセント、空所補充や整序作文といった問題は姿を消し、第1問から第6問までのすべてが「長文読解」になりました。
第1問でも約300語程度の長文を読んで答える必要があります。
後半の第5問・第6問になると800~1,000語といった「超長文」を読みこなす必要があります。

「次から次へと長文が出てくる」という印象を持つかもしれませんが、まさにその通りで、2024年度は合計で10種類の英語の長文を読む必要がありました。

後半まで集中して解く必要がある

後半になるにつれて文章の長さが長くなっていきますが、途中で諦めることなく最後まで解ききることができるようにしなければなりません。
実際に、共通テストタイプの模擬試験などでも後半は時間が足りなくて困ってしまう高校生も多いようです。

80分という制限時間内で最後まで解くという「時間との闘い」でもありますが、単に読み終えるだけでなく正解数を多くしなくては意味がありません。
そのためには「英語の文章を読む」ということが苦にならないように、日頃から英語の文章に触れていくようにしたいですね。

あわせて、すぐに自信のある解答を出せる問題は次々に進め、時間を掛けたい問題にはじっくり時間を掛けることができるような時間配分の意識も重要です。

疲れていても英語が聞き取れる耳に

リスニングの試験は1日目の最後に行われます。
リスニングの試験の直前には80分間のリーディングの試験が行われていますので、試験当日の緊張感も手伝って「疲労困憊」となっている受験生も多い状態で実施されます。

ただし、リスニングの問題を「集中すれば解ける」とか「落ち着ければ解ける」という状態のままでは、共通テストのリスニングを攻略することは難しいでしょう。
共通テストのリスニングは最初の方は同じ英文を2回放送してくれますが、後半(配点の約6割)の放送回数は1回しかありません。
リーディングと違って自分のペースで進めることができず、次々に問題は続いていきますので、30分間集中し続けて英語を聴き取る必要があります。

実は、共通テストのリスニングにはもう一つ重要な要素があります。
放送が始まる前に「状況と問いを読む時間」が与えられますが、その時間内にそれらを読んで情報を把握しておかなければなりません。
状況は日本語で書かれていますが、問いや選択肢は英語で書かれています。決められた時間が経過すると英語の音声が放送されるので、そこまでの時間で読み切ることができる力が必要です。

共通テストの英語攻略のために

このような特徴を持つ共通テストですが、攻略するためのポイントをいくつか紹介します。
一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

日本速読解力協会理事 安田

もちろん、これだけが唯一のやり方というわけではありません。
ここまで英語学習をしてきて、自分なりにやりやすいやり方なども含めて工夫してほしいと考えています。

英語を読む速度を上げる

最初に「約6,300語の長文のテストを80分で解かなければならない」と書きましたが、この中身は300語程度の長文から1,000語を超える長文まで、全部で10問の長文が出題されています(2024年度の場合。2025年度の新課程のテストは変更になるかもしれません)。
この「80分」の半分は「読む時間」として、残り半分を「解く時間」とした場合、1分間に150語以上のペースで読んでいかなければなりません。

一つの目標は「150wpm (words per minute)」です。
日頃からwpmを意識して、なるべく早い段階で、共通テストレベルの長文を150wpmで読めるようにトレーニングしていきましょう。
wpmは文章のレベルによっても左右されます。
最初のうちは、高校入試レベルの長文が150wpmを超えるスピードで読めるようになることからスタートするとよいかもしれません。

2024年実施 大学入学共通テスト(英語:リーディング)

英語を多読する

先にも触れた通り「英語を読むこと」が当たり前の状態になっておくことが必要です。
日頃から、英語で書かれたものを積極的に読んでいくようにするとよいでしょう。
難しすぎる長文だと、多読をしていくことはできませんので「自分には少し易しいな」と感じる程度の英語、辞書をほとんど引かずに読めるレベルの文章を読み続けていくことをお勧めします。
もしわからない語句があった時には、すぐに辞書で調べるのではなく、なるべく前後関係から推測するクセをつけておくとよいでしょう。試験本番は辞書は使えませんからね。

多読を続けると、英語を読むスピードがあがるという研究もあります。
一つ前の項目で挙げた「読む速度を上げる」と両立させることができるだけでなく、いろいろな分野の英文に触れていくことで様々な語彙を身につけることもできますので、ぜひ挑戦してみてください。

日頃から英語の音声に触れる

リスニングが30分続くことになりますから、英語の音声に慣れておく必要があります。
直前の対策ではなく、日々の英語の学習の中では常に音声を使いながら学習することを意識してください。
今は音声を入力すると音声を出してくれるアプリなどもありますので、そういったものも有効活用できるかもしれませんね。
リーディングで学習した文章を音声として改めて聞くのも、内容が分かったうえでリスニングの練習ができるのでオススメです。

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「速読聴英語講座」では、自分の読むスピード(wpm)をもとに、速読トレーニングで目の動かし方や、英語のスラッシュリーディングなど、読み方のテクニックをトレーニングすることができます。
さらに、英文をスムーズに読むのに必要な単語のトレーニングや、長文でリスニングトレーニングを行うこともできます。

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まとめ

共通テスト・英語の攻略ポイントは「読む速度を意識する」「多読」「日頃から音声に触れる」の3つ!

  • 長文の問題を解くには、1分間に150語以上のペースで読む必要がある
  • 最後まで集中して問題を解き続けるために、「英語を読むこと」が苦にならないようにする
  • 1日目の最後に行われるリスニング試験…疲れていても英語が聞き取れるようにしよう

「6,000語を超える長文が出題」と聞くと身構えてしまいますが、日頃から英語を読む・聞くことを意識するのも良い対策になります。
これまでの英語学習から、自分にあったやり方で工夫してみてください!過去問にも目を通してくださいね。

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