【英語】親世代の高校入試とどう違う?近年の傾向から対策を解説!
公開日:2024.11.27
最終更新日:2024.11.26
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義務教育を終えて最初に挑む関門である「高校入試」。
その出題にはいったいどんな特徴があるのか、そしてどんな対策をしていけばよいのか…と不安になる人も多いことでしょう。
今回は英語の高校入試問題の特徴と攻略のコツについて解説していきます。
ライター
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
目次
高校入試問題の全体像
日本速読解力協会理事 安田
※2024年度入試、SRJ調べ。配点などは公表されている数値を使用。
試験時間は50分でそのうち10分がリスニング
多くの公立高校において、試験時間は約50分、リスニングテストの時間が約10分含まれています。
地域によってはリスニングを別で実施しているところもあります。
多くの場合、試験時間の最初にリスニングを実施しているようですので、英語の試験が始まったらまずは英語を聴き取る心の準備が必要ですね。
入試問題で出題される語数は、全国平均では約1,650語でした。
リスニングテストを除いた約40分間で、この語数を読んで問題を解くことが全体のイメージです。
配点の半分以上が長文読解、リスニングは満点の20~30%
試験の配点のおよそ半分以上が長文読解です。
ある程度まとまりのある文章を読んで、設問に解答していきます。
出題される形式は、和訳の問題だったり、長文の内容に関する設問に答えたり、話の順番にあわせて文章を並べ替えたり、様々な工夫がされています。
長文全体の意味を正しく理解していくことが必要ですね。
リスニングは満点のおおむね20~30%の配点です。
対話文が流れて最後のセリフを選ぶ問題や、対話文を聞いて設問に答える問題、スピーチや物語を聞いて設問に答える問題などが出題されます。
過去問を見て、出題の形式をある程度把握しておくとよいでしょう。
英作文は数十語の作文を書く必要がある場合も
配点は地域によって大きく異なりますが、高校入試では英作文も出題されることがほとんどです。
英語の質問に一文で答えるような短い作文が出題されることもありますし、一つのテーマについてある程度のまとまりのある英文を作文させる出題もあります。
まとまりのある英文を書くことが必要な出題がある場合は、事前にある程度の練習が必要ですね。
近年の入試問題の特徴
日本速読解力協会理事 安田
特に、大人世代が受験したころの入試問題と比べると、その変化が大きく、驚くこともあります。
英文の長文化傾向
真っ先に挙げられるのは「英文が長文化しつつある」ということです。
例えば、約20年前の2003年度の入試問題と、最新の2024年度の入試問題を比較すると、
- 東京都立
2003年度:1,699語 → 2024年度:2,802語 - 千葉県立
2003年度:1,285語 → 2024年度:1,955語
となっており、大幅に語数が増加していることがわかると思います。
その一方で、制限時間はほとんど変わっていないことが多いので、受験生が英語を読むスピードは昔よりも速いスピードが求められていると言えます。
出題語彙の難化
小学校での英語学習が始まり、小学校で600~700語の単語を学習することになりました。
中3の終了時点までで旧学習指導要領では1200語程度の学習だったものが、新学習指導要領では2200~2500語の学習をすることになっています。
その結果、出題される語彙が難しくなっていて、昔であれば語注のついた語彙でも語注がなくなっているケースがあります。
教科書の本文でも難しい単語が増えているのは、実体験として感じている受験生も多いことでしょう。
出題トピックの拡大
前項の「語彙の難化」に関連しますが、入試で出題される長文のテーマ・トピックが広がっていることも特徴として挙げられます。
入試問題を作る側からすれば、受験生が多くの語彙を学習しているのであれば難しい話題を出しやすくなったとも考えられます。
例えば、2024年度の公立高校入試では、以下のような問題が出題されました。
- ナッジ(nudge)理論
- 高齢者の免許返納問題
- グリーンインフラストラクチャー
- 紙の書籍と電子書籍
- オンラインミーティング
- 人工知能(AI)の利用
私国立高校の入試問題まで含めると、さらにその幅は広がり、
- ダイバーシティ
- リモートワーク
- オーガニックフード
など、現代的な話題についての長文が英語で出題されるようになっています。
過去には「脳死と心臓死の違い」「先発医薬品とジェネリック医薬品」「災害時のSNS利用」「虹はなぜアーチ状なのか」など、日本語で読んでも理解するのに時間が掛かりそうな内容も出題されたことがあります。
入試問題を攻略するために
ここまでの特徴を踏まえて、入試問題を攻略するためのポイントをいくつか紹介します。
日本速読解力協会理事 安田
幅広い話題に触れて知識をインプットしておくこと
まずは英語の教科書本文で触れられているような内容からでも構いませんので、幅広い知識をインプットしておくとよいでしょう。
いろいろな英文に触れていくことと、その中で使用されている語彙や表現を身につけることができれば、入試問題を解くときにもきっと役立ちます。
英文の内容を理解しながら、最初は日本語でもいいので、自分の考えもまとめることができると、英作文や高校入学後にも役立つ力が身につくでしょう。
英語が苦手だなという人は、まずは関連する内容を日本語で仕入れていくことから始めても構いません。
背景知識がないと「英語を訳すことはできますが内容は理解できません」ということになってしまいます。
英語という科目だけに絞るのではなく、幅広く勉強をしていくイメージを持っているといいですね。
必ず「音声」に触れながら学習すること
高校入試のリスニング問題の配点としては20~30%ではありますが、将来の大学入試(大学入学共通テスト)ではリーディングとリスニングの比率は均等配点です。
大学入試のようにリスニングの配点が高まっていく可能性もあります。
また、2024年度の入試問題では、リスニングの音声が1回しか再生されない問題が出題されるのは全47都道府県の約半分です。
1回で音声を聴き取ることができるように、日頃から英語の音声に慣れておくことが重要です。
wpmを意識して英語を速く読むトレーニングをすること
全国の平均では、約1,650語を40分で解くというイメージですが、実際に解答する場面を考えると、読む時間と解く時間が必要です。
一般的に解く時間は試験時間の6割と言われていますので、40分の6割にあたる24分で解く、残りの4割の16分で読むというイメージです。
さて、wpm(words per minute)という言葉をご存じでしょうか。
1分間にどれだけの語数を読めるかという指標で、1,650語を16分で読むとなると、約100wpmです。
高校受験生の一般的なwpmは約75と言われていますので、全国平均は一般的な中3生から見るとやや速いスピードが求められていると言えます。
ただ、この全国平均を大きく上回っている地域もあり、例えば東京都立は約2,800語、神奈川県立は約2,700語、兵庫県立は約2,100語となっています。
まずは自分が受験する問題の長さを把握することと、その問題を解くために必要なwpmをイメージしながら日々の学習にあたっていきたいところですね。
高校入試対策も搭載! 速読聴英語講座
「速読聴英語講座」では、自分の読むスピード(wpm)をもとに、速読トレーニングで目の動かし方や、英語のスラッシュリーディングなど、読み方のテクニックをトレーニングすることができます。
さらに、英文をスムーズに読むのに必要な単語のトレーニングや、長文でリスニングトレーニングを行うこともできます。
- 速読聴英語講座(中学生向けトレーニング) 高校入試対策コースでは全国の入試問題を分析し、多様化したリスニング問題にも対応。入試に必要な英語力を鍛えます。
- 体験教室検索 全国の開講教室からお近くの教室を探すことができます。
まとめ
最近の英語の高校入試問題は以前とは大きく異なる!
幅広い知識のインプット・リスニングへの慣れ・読む速度が対策ポイント
- 学習指導要領の変化により出題語彙が難化、トピックが多様化している
- 多くの公立高校ではリスニングは約10分、満点の20~30%の配点
- 約20年前と比較すると、そのままの試験時間で語数が1.5倍以上に増加している地域もある
学習指導要領が変わったことや、大学入試改革などの影響を受け、近年の高校入試問題は大きく変化しています。
この記事で紹介しているのは全国的な傾向であり、都道府県ごとに出題傾向は違います。紹介した対策方法をヒントに、過去問をチェックして対策をしてみてくださいね。