「情報Ⅰ」共通テスト試作問題を分析!高校生が対策すべきポイントとは

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2025年の大学入学共通テストから新たな科目として実施される「情報Ⅰ」。そのテスト内容はどのようなものなのでしょうか。また、どのような対策をしていくべきなのでしょうか。

2024年6月19日に、エデュケーショナル・デザイン株式会社 水島 滉大さん、株式会社SRJ/一般社団法人 日本速読解力協会 安田 哲さんが登壇して行われた『2つの手段で備える・考える新課程・共通テスト「情報Ⅰ」』セミナーの内容から紐解いていきましょう。

水島 滉大 先生

エデュケーショナル・デザイン株式会社

静岡県立大学経営情報学部卒業、高校教諭第1種免許状(商業、情報)取得。 前職は教員として情報や商業の授業を担当しプログラミング教育に精通。
現在はゲーマー、プログラマー、教育者の3方向から子供たちが楽しく学べるプログラミング教材の開発を行っている。

一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

安田 哲 先生

株式会社SRJ執行役員 、一般社団法人 日本速読解力協会 理事

東京外国語大学大学院地域文化研究科修了。言語学を専攻し、言語に関する幅広い知識を有する。
大学院修了後、約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で指導。科目の内容や進路に関する相談の他、家庭学習管理やモチベーションアップなどに関して、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。

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高校で「情報Ⅰ」が必修化された背景

高校での情報Ⅰの内容

2022年4月から、高等学校において新しい学習指導要領がスタートし、今までは選択だった「情報Ⅰ」が共通必履修科目となりました。

近年、情報技術は急速に発展し、「AI家電」や「生成AI」などが私たちの日常に浸透してきました。また、SNSや動画配信など専門知識がなくても情報発信ができるようになりました。 便利になった一方で、個人情報の漏洩、誹謗中傷、情報格差等のトラブルも多発しています。このような社会の中では、機器やサービス、情報を適切に選択・活用するための知識が必要不可欠です。

こうしたことを踏まえ、小学校、中学校、高校を通じて、プログラミングや情報に関する知識・技術の学習を充実させることになりました。

「情報Ⅰ」では、以下のような内容を学びます。

1 情報社会の問題解決 情報やメディアの特性、情報に関する法規や制度、情報セキュリティ、情報モラル、情報技術の適切かつ効果的な活用 など
2 コミュニケーションと情報デザイン 画像・動画のデジタル化、ファイルの圧縮・展開、情報デザインの役割、インフォグラフィック、ユーザインタフェースなど
3 コンピュータとプログラミング コンピュータの仕組み、基本的プログラム、応用的プログラム、アルゴリズムの比較、モデル化とシミュレーションなど
4 情報通信ネットワークとデータの活用 情報通信ネットワークの仕組みと役割、情報セキュリティ、データの蓄積と管理、データの分析と評価など

参考: 高等学校学習指導要領解説(PDF) (文部科学省)

大学入試で加わった情報科目

2025年度の大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が新設されます。国立大学入試では、「情報Ⅰ」を含めた6教科8科目の試験を原則として受ける必要があります。

しかし、初年度は「情報Ⅰ」を「配点しない」「半分での配点とする」と公表している大学もあります。私立大学では、選択科目に付け加える大学が多いようです。自分の志望大学がどのように「情報Ⅰ」を取り扱うのか、最新の情報を確認することが大切です。

水島先生

情報Ⅰは多くの高校で1年生のときに学ぶようです。そうすると受験まで2年の間が空いてしまい、対策を始めるのがむずかしいようですね。
一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

安田先生

高校3年生になってから「昔やったな〜」「どこから手を付けたらいいのかな?」というのが現状かもしれませんね。

大学入学共通テスト「情報Ⅰ」試作問題の分析と対策方法

「情報Ⅰ」は試験時間60分、100点満点です。4分類の出題がされる予定で、選択問題はなく、全て必答です。

水島先生

それでは、実際にどのような問題が出題されるのか、2021年(令和3年)に公表された試作問題をみていきましょう。

 出典: 令和3年3月24日公開 情報サンプル問題(大学入試センター)

a.情報社会の問題解決

【第1問 問1】

東日本大震災の後にまとめられた通信の確保に関する報告書を基に、先生と生徒が会話をしており、空欄に合う内容を選択肢から選ぶ穴埋め問題です。

震災時にSNSを利用できた理由や、震災後にクラウドサービスが自治体などで利用されるようになった理由、情報格差の要因について理解する力を問う内容となっています。

b.コミュニケーションと情報デザイン

【第1問 問2】
こちらは、学習成果発表会に使う図がどれか良いか問う質問です。

生徒Bの「Plan」「Do」「Check」「Action」は「PDCA」サイクルなので「⑤」が正解です。社会人には常識的な問題ですが、こういった内容も高校生に課される問題になっています。

c.コンピューターとプログラミング

【第2問 問1】
プログラミングの問題では、比例代表選挙の当選者を決定する仕組みをプログラムで再現する内容です。

比例代表の内容は公民で習います。このように、他の教科と交わった内容も出題されます。

プログラム自体は難しい内容ではありません。授業で使用するプログラミング言語は多様であることから、「共通テスト用プログラム」が使われています。

対策さえしていれば解ける内容となっています。

d.情報通信ネットワークとデータの活用

【第3問 問2】
サッカー部のマネージャーが、強いチームと弱いチームについてデータに基づいて分析をしています。

複数の項目に注目して作成された図を参考にしながら、その関係性について考えさせる問題となっています。

図を正しく読み取り、項目間の関係性について理解した上で、数学の知識と計算処理も必要です。解答のプロセスに入るために、まずは文章・図表を正しく読み解く力が必須と言えるでしょう。

「試作問題」の構成と配点を分析

2022年には新たな試作問題が公表されています。

その内容を「①情報Ⅰの知識がないと解けない(解くのが難しい)問題」と、「②読解力があれば情報Ⅰの知識に不安があっても解くことができる問題」に分けると、配点はやや「②読解力があれば情報Ⅰの知識に不安があっても解くことができる問題」が多くなりました。

問題番号 出題内容 配点
①知識 ②読解力
第1問 問1 情報社会 4
問2 ネットワークとデータ活用 6
問3 プログラミング 6
問4 情報デザイン 4
第2問 A 情報社会、情報デザイン 15
B プログラミング 15
第3問 プログラミング 25
第4問 ネットワークとデータ活用 16 9
(合計) 47 53

※SRJ調べ

一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

安田先生

情報Ⅰのテストは一般常識や時間をかけて読めば分かるような問題も出題されます。とくに2022年に公表された試作問題 第1問 問4の路線図のような情報を整理する問題は、読解力があれば解ける易しい問題かなと感じました。

水島先生

問題の文章が長くて、その中からヒントを探す力が必要ですね。 試作問題 第1問 問3 の回路の問題は図形を読み取る力も必要ですが、読解力があれば解ける、むしろ読解力がないと解けない問題になっているかなと思います。

「情報Ⅰ」で得点を上げるためにすべき対策

情報Ⅰの知識を身につけ、数学の知識も身につける

まずは教科書で学ぶ、情報Ⅰの知識をしっかりと身につけることが大切です。

また、試作問題であったように数学の知識も必要です。教員向けの研修教材にも、数学との関連が明記されています。

(3)コンピュータとプログラミング
〜略〜
 更に,モデル化とシミュレーションについては,「数学A」の(2)「場合の数と確率」との関連が深く,地域や学校の実態及び生徒の状況に応じて教育課程を工夫するなど,相互の内容の関連を図ることが大切である。
(4)情報通信ネットワークとデータの活用
〜略〜  また,統計的な内容については,〜略〜 高等学校数学科の「数学Ⅰ」の(4)「データの分析」との関連が深いため,地域や学校の実態及び生徒の状況等に応じて教育課程を工夫するなど,相互の関連を図ることが大切である。

読解力を鍛えて応用力を身につける

実際のプログラミング言語は多様であり、学校で学ぶ言語もそれぞれです。そのため、共通テストでは「共通テスト用プログラム」で問題が出題されます。「共通テスト用プログラム」は、読解力や数学知識があれば読み解くことができる問題となっています。しかし、試験には制限時間があるので、時間内に読み解くための力を鍛える必要があります。

自分の読解力がどのくらいあるのか知りたい、基礎的な読解力やスピードを鍛えたいという方には、速読解力講座がおすすめです。速読力、基礎的読解力、処理能力などを豊富なトレーニングで鍛えることができます。

読解力は「情報Ⅰ」だけでなく、前提や状況説明の文章が長い傾向にある共通テストで役立つ力となります。

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まとめ

情報Ⅰの知識を復習したうえで、読解力を鍛える

  • 試作問題の配点では「情報Ⅰの知識を問われる問題」47点、「読解力が必要な問題」53点だった
  • ※2022年公表試作問題(SRJ調べ)

  • 数学的な知識が必要な問題が出題される
  • 読めば分かる問題もあるが、文字量が多いため、時間内に読み解く速読解力が必要

最新の「情報Ⅰ」試作問題では、知識と読解力が半分ずつくらいの割合で出されました。「知識」の部分は、教科書で習う「情報Ⅰ」の内容を復習するようにしましょう。「読解力」の部分は、様々な問題例に挑戦し、足りない部分の対策を行いましょう。文章・図表の読解のスピードや、内容理解度、処理スピードが足りないと感じたら、ぜひ「速読解力講座」で速く正確に読み解く力を鍛えましょう。

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