小学生低学年からはじめる中学受験準備!やっておきたいことは?

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中学受験を考えている保護者の皆さんの中には、お子さんの将来のために何をすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?実は、中学受験に向けて小学校の低学年のうちに始めておきたいことがあります。この記事では、低学年から始める中学受験準備について、具体的な方法やメリット等をご紹介します。

ライター

佐藤壮夫

株式会社SRJ 新規事業開発室
中学受験専門 速読解力講座運営

東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(International Studies)。大学在学中に教育事業会社を創業し、学習塾事業・公教育事業・オンライン学習事業などを推進。これまで小中高生を中心に、幼児から社会人まで全ての世代へ理解力や思考力を高める教育プログラムを提供してきた。

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中学受験に必要な準備

中学受験の現状

2024年の首都圏の私立・国立中学受験者数は52,400名でした。

9年連続で増加し過去最多となった2023年の52,600名よりわずか200名少ない数で、過去2番目に多い受験者数になります。

また、受験率は18.12%で、こちらは過去最高となっており、中学受験熱はまだ当面は弱まる気配がありません。

参考:2024年私立・国立中学受験者数は52,400名と微減ながら受験率は過去最高の18.12%に!《首都圏》|首都圏模試センター

近年は学校の特色に合わせて入試問題にも工夫を凝らすようになってきています。

知識を問うだけの設問が少なくなり、知っている知識を基にじっくり考えて答えを導く設問が増えてきました。

これに伴って、大手進学塾の中学受験に向けたカリキュラムも昔とは様変わりしてきています。

多様な問題に対応するため、全体的な学習量は増えてきていて、それに伴って中学受験のカリキュラムの開始時期も前倒しになってきています。

ご自身が中学受験をご経験された保護者さまの中には、小学5年生からカリキュラムが本格化するイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、塾によっても異なりますが、現在は遅くとも新小学4年生(小学3年生の2月)から本格的な受験カリキュラムが始まる形が主流となりました。

そのため、小学3年生の2月よりも前に通塾を始めるケースも珍しくありません。

低学年から準備をはじめるメリット

本格的な受験カリキュラムが始まるタイミングで、中学受験の準備を始めれば良いかと言えばそうではなく、その前からもできる準備をきちんと整えておくことは、その後の学習を円滑に進めるためにとても重要です。

もちろんカリキュラムの最初の方から難しい内容がたくさん出てくるわけではありませんが、それでも毎週のカリキュラムで次々と新しいことを学習していくことになりますので、それらをしっかりとこなして、消化不良が起きない状況を作る必要があります。

中学受験の学習では、学校で学習するよりもはるかに多くの内容を頭の中に入れなくてはいけません。

小学校低学年の間にそれらを受け入れられる土台を用意しておくことができると、その後の学習がスムーズになります。

時間にも余裕がある低学年のうちからできる準備を始めておきましょう。

低学年のうちに身につけておきたいこと

日々の学習習慣をつける

小学校低学年のうちから日々の学習習慣をつけることは非常に重要です。

学習習慣をつけることで、勉強が特別なものではなく日常の一部として定着し、学習量が増えてきてからも無理なく学習に取り組めるようになります。

具体的には、以下のような方法が効果的です。

短時間で集中した学習時間を設ける

低学年の子どもは集中力が持続しにくいため、30分から1時間程度の短い時間で学習時間を設定し、短時間で集中して取り組むようにすると効果的です。

集中して学習できる場所を作る

お子さまやご家庭によってさまざまだとは思いますが、リビングの一角や子ども部屋など、ここなら集中して取り組めるという場所を家のどこかに作っておくようにしましょう。

親が一緒に学習計画を立てる

学習を始めて間もない低学年のうちは学習計画を立てることもなかなか難しいものです。1週間単位で一緒に学習計画を立てるようにしましょう。そして達成したらしっかりと褒めて、モチベーションや自尊心を高めてください。

「計算」「漢字の読み書き」をできるようにする

受験勉強を始めるにあたり、一番始めの基礎となるのは「計算」と「漢字」です。

まず計算についてですが、中学受験の算数の問題は内容が難しいのはもちろん、1問あたりの計算量も非常に多いことが特徴として挙げられます。

正しい解法がわかったとしても、途中の計算で間違えてしまうと点数をもらうことができませんし、制限時間内に問題を解き切るためには、速く計算を進められるようにしておく必要があります。

低学年のうちに6年生までの計算を身につけたりする必要は決してありませんが、基礎的な計算問題を速く正確に解くことができる計算力を身につけることはとても大切です。

ドリルなどを利用して、日々繰り返し計算練習を行うようにしましょう。

毎日の計算練習を継続的に行うことで、計算力を高めるだけではなく、計算練習に取り組むことを習慣化することができますし、計算に対する自信をつけることにも繋がります。

漢字も計算と同様に、基本的なものの読み書きをきちんとできるようにしておくことはとても重要になります。

中学受験のカリキュラムが本格化してからも漢字やことばの学習に取り組むことになりますが、それまでに最低限の漢字の読み書きはできている前提で進んでいきますし、漢字を覚えるという作業に慣れておかないとその時に苦労することになってしまうからです。

漢字練習帳やドリルなどを活用しながら、書いて覚える作業を日々繰り返し行うようにしましょう。

漢字の学習を行うと、語彙力の増加にも繋がり、読解力も向上させることができます。

その後の学習にも生きてきますので、漢字の学習も習慣化し、漢字やことばに対する自信を深めておけると良いです。

「文章読解力」を養う

中学受験の問題は、これまで以上に文章量が増加傾向にあり、記述式の問題も増えてきました。

国語以外の算数・理科・社会のいずれの科目でも、長文化が進んでいて、文章を正確に理解し、自分の言葉で表現する力が求められています。

低学年の間に少しでも文章に触れる機会を増やし、文章読解力を養っておくことは非常に大切です。

そのために、お話を読む習慣を身につけられると良いです。

絵本から始め、物語を楽しむことで、本を読むことが好きなるようにできると理想的です。

親が読書する姿を見せることも、子どもの本への興味を引き出すことにつながります。

余裕があれば、読んだ本の内容を要約する練習をするのも効果的です。

また、読んだ本の内容や新聞のニュースの内容などについて、親子で話し合う時間を設けると、自身の意見を形成する力やそれを表現する力、多角的な視点で物事を考える力などを養うことができます。

日常生活の中でできる中学受験準備

興味を持ったことを体験させる

子どもの好奇心を育てることはとても大切です。

好奇心は子ども自身の内側から湧き出る学びへの欲求であり、新しい知識や経験を得ることに対して喜びを感じさせるものに他なりません。

子どもが興味を持ったことは積極的に体験をさせ、好きなだけ探求できる環境を用意してあげると、その後の学習の大きな原動力となっていきます。

また、様々なことに興味を持つことで、異なる分野の知識を繋げる力が育ちやすくなります。

知識を関連付けられるようになると、その後の受験勉強においても、学習効率を高め、内容の理解を深めることに役立ちますので、好奇心旺盛で時間的にも余裕がある低学年のうちに、さまざまなことを体験させてあげるようにしましょう。

例えば、科学館や博物館などへ行く、自然観察会のような体験型学習に参加する、工作や実験を一緒に行う、自然が豊かな場所や歴史的な場所を訪れるなどすると、視野を広げることができますし、理科や社会の学習にも役立つためおすすめです。

本を読む習慣をつける

読書は、読解力や語彙力、思考力や想像力を養うために非常に有効な方法です。

中学受験では高い文章読解力が求められますが、低学年のうちから本に親しむ習慣をつけることで、受験に向けて必要な力を自然と身につけることができます。

読書習慣をつけるコツとして、以下のような方法が挙げられます。

  • 毎日寝る前に10分ほどの読書時間を設ける
  • 親が積極的に本の読み聞かせを行う
  • 図書館に定期的に通う
  • 子どもの興味に合わせた本を選ぶ
  • 親子で同じ本を読み、感想を話し合う

始めのうちはお子さんが興味を持ちやすい絵本や物語から始めて、徐々に難易度を高めていったり、科学や歴史などの分野に関する本も取り入れたりできると、幅広い知識を得られて理想的です。

親ができるサポート

学習環境の整備

ここまででお話してきました通り、中学受験に向けて小学校低学年の時期に取り組むべきことは、基礎的な学力や学習習慣、知的好奇心を育てることが中心です。

そのため、親ができるサポートも、直接的な受験対策ではなく、それらを育てるための環境を整えたり、きちんと取り組めるように導いてあげたりすることが主になります。

計算や漢字などの基礎学力や毎日の学習習慣が身に付くように学習計画を一緒に考えて立てたり、学習スペースや教科書などの整頓をしてストレスなく学習に取り組めるように工夫したりするなど、子どもが集中して効果的に学習できるような環境をつくることが大切です。

それと同時に、一緒に本を読む時間やその内容について話をする時間を設けたり、休みの日に子どもが興味を持ちそうなところへ連れて行ったりするなど、机に向かうだけではない学びの機会も積極的に取り入れるようにしましょう。

中学受験の勉強が本格化して、特に塾通いが始まると、まとまった時間を取ることがだんだん難しくなっていきます。

低学年の間は、親子で一緒に楽しみながら過ごす時間を是非とも大切にしてほしいと思います。

中学受験に役立つ!速読解力講座

中学受験では、限られた時間で非常に多くの文章を読み進めなくてはいけません。

日本速読解力協会が提供する速読解力講座は、文章を速く読めるようにするための速読トレーニングと、文章を正確に読めるようにする読解トレーニングで、内容の理解度や記憶量を損なわずに読む速度を向上させることができます。

読む時間を短縮することができれば、その分を考える時間や記述答案を作成する時間に回すことができるため、試験で非常に有利になります。

低学年で伸ばしておきたい「文章読解力」を効果的に鍛えることができますし、語彙力や集中力なども養うことができます。

また、低学年の間に速く読む力を高めておくことができれば、受験勉強が本格化したときにスムーズに学習に取り組むことができますし、科目の勉強に時間を回すことができるようになるためオススメです。

全国5,500の教室の中から近くの教室をお探しいただくか、オンラインでも受講可能です。来るべき中学受験に向けた準備として、是非一度受講をご検討ください。

まとめ

小学校低学年の間は学習の土台を大きくすることを心がけましょう

  • 基礎的な学力や日々の学習習慣を身につけることがこの時期は重要
  • さまざまな体験を通して好奇心を育てるとその後の学習の原動力に繋がる
  • それらを育てるための環境や機会を用意することが親にできる最大のサポート

受験勉強が本格化する前の低学年の間は、「計算」「漢字」「読解」といった基礎学習を通じて学習習慣を確立させつつも、勉強以外の様々な経験を通して好奇心を育むことが大切です。
お出かけや対話の機会を積極的に設け、親子で一緒に学びを楽しむ時間を共有するようにしましょう。

中学受験本番で「時間が足りない!」はもったいない。

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