ネットリテラシー教育とは?小学生がネットと上手に付き合うためにできること
公開日:2024.08.28
最終更新日:2024.11.06
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様々な情報を得るのに便利なインターネットですが、トラブルの原因になる可能性も持ち合わせています。そこで身につけたいのが「ネットリテラシー」です。
今回は、インターネットに触れる機会が多い子どもたちに必要な「ネットリテラシー」についてご紹介します。
目次
ネットリテラシーについて
ネットリテラシーとはどういう意味なのでしょうか。そしてネットリテラシーが低いと何が起こるのでしょう。
ネットリテラシーとは?
ネットリテラシーは「インターネット・リテラシー」を略した言葉です。
リテラシーは英語では「読み書きする能力」という意味ですが、日本語で使う意味として訳すと「正しく意味を理解して活用する能力」という言葉として使われることが多いです。
したがってネットリテラシーは「インターネットやインターネットから得た情報を正しく理解して活用する能力」という意味になります。
ネットリテラシーが大切な理由
次にインターネットを活用していく上でネットリテラシーが大切な理由について考えていきましょう。
インターネットは情報を得る以外にも、動画を楽しんだり、SNS(ソーシャルネットワークサービス)で人と交流したり、メールやメッセージを通じて友達と連絡をとったりと、いろいろなことを楽しむことができます。
最初のうちは警戒して慎重になりますが、毎日利用していくうちに慣れが出てしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。
例えば、知らない間に個人情報を流出させてしまったり、確信もない情報を信じてしまったり、人とコミュニケーションをとりづらくなったりなど、インターネットの利用が悪い方向に向かってしまうことも考えられます。
それらのトラブルを事前に防ぐためにも、ネットリテラシーを理解しておくことはとても大切なのです。
ネットリテラシーが低いとどうなる?
ネットリテラシーが大切な理由をお伝えしましたが、ネットリテラシーが低いとどうなるのでしょうか?具体的な例を挙げてご紹介します。
正しい情報を集めることができない
インターネット上にはたくさんの情報が日々更新されています。その情報を発信している人たちも不特定多数で、その中には確信のない誤った情報を公開していることもあります。
ネットリテラシーが低いと情報をうまく取捨選択できず、誤った情報までも信じてしまい、正しい情報を得ることができません。インターネットで情報を集める時には、その情報が信頼できる場所から発信されているのか、正確な情報なのかなどを確認することを意識しましょう。
個人情報を漏洩してしまう
SNS(ソーシャルネットワークサービス)などでは、住所や名前が特定できる情報を知らない間にアップしてしまう可能性があります。
その情報の中から自宅の場所を調べられてしまったり、個人情報がわかってしまって悪用されたりという被害に遭うこともあります。
インターネットで身近なことを発信する際には、個人情報がわかってしまう内容が含まれていないかどうか、慎重になることを忘れないように心がけましょう。
インターネット詐欺の被害に遭ってしまう
偽装したウェブサイトやメールなどから個人情報を盗み取る「フィッシング詐欺」や、URLをクリックしたことで高額な料金を請求される「ワンクリック詐欺」など、インターネット上にはさまざまな詐欺犯罪が潜んでいます。
情報を見極める、むやみやたらにウェブサイトやメール内のURLをクリックしないなど、ウェブサイトを閲覧する際には気をつけるようにしましょう。
人を安易に傷つけてしまう
昨今、芸能人や身近な人を誹謗中傷する内容をSNSに投稿・拡散することで、裁判になって慰謝料を請求されたというニュースを見たことがある人もいるでしょう。
冗談から始まったり、情報を広めたほうが良いという正義感から投稿したり、ということがきっかけになっているようですが、人を傷つける行為は決して許されることではありません。
インターネット上でのコミュニケーションは、表情が見えない分、勘違いが起こったり、普段では使わない言葉や表現で人を傷つけてしまうことがあります。
インターネットでコミュニケーションをとる際は直接的なコミュニケーションよりも慎重になること、相手の気持ちを考えて発信することを心掛けましょう。
また、情報を投稿するだけでなく、拡散することも同じく加害行為となりますので注意が必要です。
犯罪に巻き込まれる可能性も
インターネット上で知り合った人と実際に会うことで、誘拐や詐欺などの犯罪に巻き込まれる事件も多発しています。
インターネット上で開示している年齢や性別、職業などはすべてが真実であるとは限りません。良い人を演じるため、相手を信じ込ませるために巧みについた嘘である可能性も否定できません。
もちろん、素晴らしい出会いをもたらせてくれるのもインターネットですが、危険な状況に巻き込まれてしまう可能性も大いにあるということを忘れずにいてください。
ネットリテラシー教育について
子どもたちがインターネットに触れる機会が多いことから、国もネットリテラシー教育に力を入れています。実際の取り組みもご紹介していきます。
ネットリテラシー教育は何歳から?
子どもがインターネットに触れる年齢が下がっていることを踏まえ、できる限り早い段階から始めることを推奨します。
小学生になり、動画やインターネットを利用する機会も増えてきたら、ネットリテラシーについて教えましょう。インターネットを利用する際は親が近くで見守ったり、一緒に操作したり、ペアレンタルコントロール機能を使ったりして、工夫してインターネットを利用してみてください。
ネットリテラシー教育の取り組み
春のあんしんネット・新学期一斉行動(こども家庭庁)
進学や進級のタイミングでスマートフォンを持つ子どもも多いということから、学校や自治体などが協力して啓発活動を行っています。
インターネットを利用する上での注意などがまとめられたリーフレットも公開されていて、入学・卒業、春休みに入るタイミングで配布する学校もあります。
家庭でもできるネットリテラシー教育
子どもたちが自宅でインターネットを利用することが多くなった今、家庭内で時間を取ってネットリテラシー教育をすることは、子どもたちにとっても良い経験となるでしょう。
ルールを決める
子どもだけでなく、家族全員でネットリテラシーを身につけようという姿勢が大切です。
家庭内でルールを決めて、しっかりと守れるように、決めたルールは目につくところに貼っておくなどして意識できる環境を作ってみましょう。
実際にあったトラブルについて話し合う
ニュースではインターネットが元になった事件などが報道されることがあります。巻き込まれそうな可能性のあるニュースがあれば、その内容について話し合ったりして、危険性を認識できるようにしましょう。
小学生向けの本も出版されているので参考にしてみてください。
小学生から知っておきたいネットのルール
監修:高橋 暁子
出版:新星出版社
小学生に向けた、かわいいマンガ&イラスト満載で、インターネットの安全な使い方が学べる本。SNSやメールなどネットでできること、ネットを使うときに気をつけるべきことなど、ネットの基本をもちろん、ルールやマナーが身につく一冊です。
(引用:新星出版社)
5分でわかる安心ネット術
監修:手塚信貴
マンガ:岩崎つばさ
発行:Gakken
知らずに使うと怖いインターネット! こども版ネットリテラシーの「トリセツ」を読んで、安心ネットライフを!
インターネットは、検索などでは便利な反面、個人情報がさらされ悪用されるなどと、知らずに使うと危険もいっぱい。
本書は、はさみや包丁のように便利だが危険な道具・インターネットをどう使いこなすか、その特性を知りつつ、安全に使う方法を学ぶための、安心ネット取り扱い説明書です。
(引用:学研出版サイト)
クイズでわかる 小学生からのネットのルール
監修:鈴木朋子
クイズ制作:クイズ法人カプリティオ
出版:主婦の友社
「そもそもインターネットってなに?」「ネットトラブルの回避法は?」「知らない人とSNSでやりとりしてもいいの?」「ネットのやりすぎで目が悪くなる!?」など、初めてネットを使う小学生に、親として知っておいてもらいたいネットの知識、ルール、マナーをクイズ形式で紹介!楽しみながら、必要なネットリテラシーが身につきます。
(引用:主婦の友社)
10歳からの 図解でわかるメディア・リテラシー
監修:中橋 雄
出版:メイツ出版
「メディア」と上手に付き合うための方法を、やさしく解説します。
*そもそも「メディア」ってなあに?
*メディア・リテラシーを身につけると、ニュースの見方が変わるって本当?
(引用:株式会社 メイツユニバーサルコンテンツ)
まとめ
ネットリテラシーを身につけてインターネットを正しく利用しよう
- ネットリテラシーは「インターネットやインターネットから得た情報を正しく理解して活用する能力」のこと
- ネットリテラシーが低いと犯罪に巻き込まれ、人を傷つけてしまう可能性がある
- 家庭でルールを決め、実際に起こった事件について話し合うのが大切
インターネットは正しく利用すると新しい情報を得たり、世界中の人々と交流ができたり、とても素晴らしいツールです。しかし使い方を誤ると個人情報が漏れたり、人を傷つけてしまったりと、トラブルにも繋がってしまいます。
インターネットから子どもたちを遠ざけるのではなく、正しい知識と使い方を伝え、ルールやフィルタリングを設定しながら、大人も子どももインターネットと上手に付き合っていきましょう。
監修
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
ICTを適切に扱うための取組(総務省)
総務省が公表している「ICTを適切に扱うための取組」では、民間団体が開発したアプリケーションを使って安全な利用方法についてゲームを通じて伝えたり、危険な状況を疑似体験したりという啓発活動が紹介されています。
また、ソーシャルゲームやゲーム開発メーカーでも、適切な利用方法を呼びかけ、事前に親が設定できる方法についても紹介されています。
参照:総務省 ICTを適切に扱うための取り組み