小学生の家庭学習を習慣化するには?親がサポートできること

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小学生の家庭学習

長期休みを控えたり、学年が上がったりするタイミングで、家庭学習の習慣を身につけさせたいと考える保護者の方は多いと思います。ただ、習慣化するには親のサポートも必要です。
この記事では家庭学習の必要性や、家庭学習を習慣化させるコツをお伝えします。

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家庭学習ってどんなもの?

家庭学習とはどのような内容の勉強を指すのでしょうか。

学校や習い事の「宿題」

家庭学習と聞いて思いつくのは、学校や習い事から出される「宿題」が多いのではないでしょうか。

学年にもよりますが、主にプリントやドリル、音読などが宿題として出されます。

宿題は、小学校や習い事で教わった内容の復習が中心です。授業で習ったことをもとにして、家庭で復習しながら繰り返し問題を解くことで、より理解が深まるだけでなく、「わかっている状態」から「できる状態」に引き上げることができます。

また、小学校では毎日宿題が出されるので、帰宅後に宿題をする=机に向かって勉強するという習慣づけにもなりますね。

自分の意欲で進める「自主学習」

自主学習は、宿題とは違って、子ども自身が学習内容や目標を決めて取り組む学習のことです。

子ども自身の興味や意欲などにそった学習を、子どものスピードに合わせて進めていきます。

自主学習では、自分で内容や目標を決めて勉強するので、自律性だけでなく好奇心や向上心も養われていきます。

もっと学びたい、もっと知りたいという気持ちを育てるのに、自主学習はとても有効的です。

子どもが家庭学習を苦手に感じる理由

保護者が家庭学習をしてほしい気持ちとは反対に、多くの子どもは、家庭学習を苦手に感じたり、なかなか正面から向き合わなかったりします。大きな理由として3つ挙げられます。

気持ちが前向きにならない

勉強する目的や理由がないまま家庭学習を進めてしまうと、気持ちが前向きにならず、学習意欲が低下してしまいます。
特に宿題に関しては、自分が興味を持った内容ではない場合があるので、「やりたくないな」と感じることもあるでしょう。

さらに、興味がない内容に対して無理に取り組もうとすると、勉強に対して気持ちが向かず、家庭学習自体に苦手意識を持ってしまいます。

集中力が続かない

多くの子どもたちは、家でリラックスしたいと思っていることでしょう。ゲームや動画、マンガなどといった誘惑も、家には多く存在します。
リラックスしたい気持ちや誘惑に負けて、集中力が続かず、家庭学習が苦手になってしまうということもあります。

大人が思うほど子どもたちの集中力は長く続きません。年齢によっては集中力が育っていないこともあります。小学校低学年は5~10分、小学校高学年でも15~20分程度しか集中力は持続しないとも言われています。

普段の生活の中で、子どもたちの集中力がどれくらいなら保てているのか、観察してみるのも良いでしょう。

勉強の仕方がわからない

勉強すること自体に慣れておらず、勉強の仕方がわからない、家庭学習を進められないというケースもあります。

学習計画を立てたり、勉強方法を身につけていったりするには、やはり習慣化させることが必要です。

子ども自身ではなかなか勉強の仕方を見つけることは難しいので、親や先生といった大人がサポートすることで、自分に合う方法を習得することができます。

家庭学習が子どもに必要な理由

家庭学習は継続することが一番重要です。継続していくことにより身につく力はたくさんあります。
なぜ家庭学習が子どもに必要なのか、主な理由を3つ挙げていきます。

集中力が身につく

家庭学習を続けることで、集中力が持続するようになるでしょう。

家庭学習を苦手に感じる理由として「集中力が続かない」という点を挙げましたが、家庭学習を続けることで克服することができます。

例えば、計画や目標を立てて学習に主体的に向き合うことができ、それらを達成することでモチベーションも上がります。さらに、「次はこれを学びたい」「ここができるようになりたい」と向上心も育っていきます。やる気とともに集中力も自然と高まっていきますので、今まで集中力が続かなかった場合でも、家庭学習を継続することで、集中力が続く時間が伸びていきます。

学校での学習の理解も深まる

学校から出される宿題は主に復習の内容がメインとお伝えしましたが、それを着実にこなすことで知識の定着につながります。

授業で聞いた時はわからなかったことも、家では時間をかけて理解できるまで向き合うことができます。
さらに、学校の授業で気になったり、もっと知りたいと思ったところを自主学習で進めたりすることができれば、知識の幅も広がっていきます。
家庭学習は学習意欲の向上につながるだけでなく、学校での学習の理解も深まります。

目標を達成する喜びを感じることができる

特に自己学習を進めていく上では、目標を掲げたり計画を立てたりすることが重要です。
自分の目標を明確にして、それを達成するための計画を立てていくことは、勉強以外でも必要とされる能力です。

自分の課題を見つけて、どのような目標を掲げるのが良いか、それを達成するための計画を練って、進めながら見直していくという一連の流れを家庭学習の中で身につけることができれば、学年が上がって受験や定期テストと向き合うことになったときに、役立つことでしょう。

目標を達成したときの喜びは、子どもにはとても大きな印象を残すことになります。その気持ちはいつまでも子どもたちの中に残るので、気持ちの成長にも繋がっていきます。

子どもが自主的に家庭学習を進めるためにできること

では実際に家庭学習を進める上で必要なことをご紹介します。親のサポートが必要な部分も多いので、ぜひ子どもたちと一緒に取り組んでみてくださいね。

目標を決める

効果的に家庭学習を進めていくには、明確な目標を決めることが重要です。目標を決めないまま家庭学習を進めてしまうと、苦手意識を感じたり、持続しなかったりします。
目標は子どもと一緒に決めてください。他者に決められた目標だと達成へのモチベーションが上がりづらいです。

具体的に目標を設定するコツは以下の3つです。
「具体的な数値であること」
「少しがんばる必要があること」
「期限が明確であること」

例えば、○日までに漢字を10個覚える、○日で九九を〇段まで言えるようになるといったものでもいいですし、テストで100点を取る、英語の民間試験に合格するなどといった内容でも構いません。
目標を明確にすることで、学習計画も立てやすいです。立てた計画は定期的に振り返ったり、期限を見直したりして、確実に達成できるように調整していきましょう。
自分で立てた目標を達成した時の喜びは、別の目標を立てる時のモチベーションにも繋がりますよ。

スケジュールを組む

スケジュールは動かせない・必要な予定から埋めていくことがポイントです。随時見直しも行いましょう。

目標を決めることと同じように、スケジュールも自分で組んだほうが前向きに取り組むことができます。具体的な行動を決めることで、親の確認やアクションもわかりやすくなります。
学習習慣や生活習慣を自ら見直そうという気持ちにもなりますし、自分が考えたスケジュールなら進められるという自信にも繋がります。

自分でスケジュールを立てて動くということが習慣化すれば、学年が上がったときの勉強や学習以外での過ごし方にも役立つことでしょう。

勉強できる環境を整える

苦手意識を持つ理由として「集中力が続かない」点を挙げたときに、家には誘惑がたくさんあるということをお伝えしましたが、学習に向き合うときは環境を整えることが大切です。

学習場所は学習意欲に大いに影響を与えます。子どもが気になってしまうものが目に入らないようにして、学習に向き合える環境を用意します。

場所はリビングやダイニングといった家族が過ごす場所でも構いません。ただ、その場合はテレビを消したり、おもちゃやマンガを片付けたりするなど、学習できる雰囲気に整える工夫をしましょう。

まとめ

目標・スケジュールを設定して家庭学習の環境を整えましょう!

  • 集中力が続かない、勉強に前向きになれないことで家庭学習を苦手と感じてしまう
  • 目標設定のポイントは「具体的な数値」「少し頑張る必要がある」「期限が明確である」

小学生が家庭学習を進めるには、学習環境や生活環境を整えること、目標を立てて計画的に進めることが大切です。そして子どもが意欲的に家庭学習を取り組むためにも、保護者のサポートは必要です。
子どもから「できた!」「もっと学びたい!」の気持ちを引き出すためにも、子どもの気持ちを優先しながら見守る姿勢を心がけていきましょう。

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一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

監修

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

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