【2024年度】公立高校入試・英語ワード数第1位は?問題の分析と対策

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皆さんは、高校入試でどれくらいの英語(ワード数)を読むのか知っていますか?

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公立高校入試における各地域の英語の問題について、ワード数を数えて調査しました。
合わせて今の自分の力がどのくらいなのかも確認してみましょう。

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公立高校入試・英語ワード数調査

2024年に実施された公立高校入試の英語の文章量・ワード数を調査しました。

※一部複数受験日含む45都道府県データ(SRJ調べ)

全国のワード数平均

地域によって試験時間が異なりますが、平均試験時間は約50分(うちリスニング約10分・筆記約40分)、問題に出題されるワード数はおおよそ1650ワードという結果になりました。

※リスニング時間を公表していない都道府県も一部あり

気を付けなければいけないのは、入試では問題を読むだけでなく、解いて解答用紙に記入しなければなりません
入試などでは、解く時間を全体の試験時間の約6割確保する必要があると言われています。
これらを踏まえると以下のようになります。

1650ワードを16分で読み切るには、1分間に約100ワード読む必要があります
しかし、見直す時間を確保するにはさらに速く読む必要がありますね。

1分間に100ワード(wpm)ってどのくらい?

ワード数調査では、1分間に100ワード程度読む必要がある(100wpm)という結果になりました。

※wpm=1分間に読める英語のワード数(words per minute)

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パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも計測できます。
チャレンジして自分の今のwpmを知りましょう!

【2024年度】公立高校入試・英語ワード数ランキング

今回の調査で、ワード数が一番多かったのは大阪府、次いで東京都、神奈川県という結果になりました。ランキングは以下の通りです。
参考に、前述した解く時間を6割確保するために必要なwpmも掲載します。

※リーディング試験のみで算出
※リスニングとの時間の区別がない場合は、リスニング時間をSRJ調査の平均10分とし、試験時間より算出

ランキング 都道府県 総ワード数 必要wpm
1 大阪府(C問題) 2,911 243
2 東京都 2,802 175
3 神奈川県 2,688 168
4 兵庫県 2,122 133
5 鹿児島県 1,962 129
6 岐阜県 1,959 122
7 千葉県 1,955 98
8 青森県 1,900 119
9 岡山県 1,867 133
10 茨城県 1,849 116

10位以内はほぼ100wpm以上が必要という結果になりました。
3位以上は4位以下と比較すると必要wpmが30以上も多くなっています。

ワード数1位は大阪(C問題)

今回の調査の中でワード数が一番多い大阪府(C問題)では、総ワード数が約2,900ワードと、平均1,650ワードの1.5倍以上という結果でした。
リーディング試験時間30分のうち、解く時間に6割使うことを考えると、最低でも1分間に243wpmの英語を読むスピードが必要です。

今後の高校入試のワード数はどうなる?

英語が小学校から教科化され、中学高校を通して習得する単語数は大幅に増加しました。
また、高校・大学入試問題は長文化傾向にあることから、今後ワード数が減る可能性は少ないでしょう。

【2024年度】各都道府県の分析

ワード数上位の都道府県から一部を抜粋して試験内容の分析を行いました。

北海道(総ワード数:1,646)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 絵を選ぶ、対話の適切な応答を選ぶ、内容に関する英語を選ぶ、質問に対する答えの英文を書く 35 13
2 文法・語法・英作文 空所補充、対話を成立させる英作文 16 6
3[A] 長文読解 図表の読解と英作文 10 3
3[B] 長文読解 スピーチ原稿の読解 10 3
3[C] 長文読解 対話文とプレゼンテーションの読解 17 7
4 英作文 デジタル卒業アルバムを紹介する英作文 12 3

配点の割合

[1] リスニング、[2] 単語の問題と英作文、[3] 長文読解、[4] 英作文の4題構成で、このうち、[3] は図表の読み取り、文章読解、対話文読解の3題からなるという全体の構成は2023年度と大きな変更はありませんでした。
[3] の長文問題は英語での内容一致や英問英答に加えて英作文も出題されており、英文の中から必要な情報だけを見つけ出すような従来の学習ではなく、英語の長文そのものを正しく読解できる力が求められます。

神奈川県(総ワード数:2,688)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 適切な応答を選ぶ問題、対話文の内容理解、留守番電話のメッセージのメモの完成 21 7
2 文法・語法 適語選択 6 3
3 文法・語法 適語選択 12 4
4 文法・語法 語順整序 16 4
5 英作文 会話の場面にふさわしい内容の英作文 5 1
6 長文読解 グリーンインフラストラクチャーに関するスピーチ原稿の読解とグラフの読み取り 15 3
7 長文読解 英文と地図・記事の読解 10 2
8 長文読解 対話文読解・グラフの読み取り 15 3

配点の割合

[1] リスニング、[2]~[4] 文法小問、[5] 英作文、[6] 長文読解、[7] 図表のある対話文読解、[8] 対話文読解という8題構成は2023年度同様でした。
[6]の(ア)が昨年はグラフを選択するタイプの問題でしたが、2024年度は文中の空所を補充するタイプの問題になりました。
[2]~[4]については日頃から問題集等で学習していれば得点源とできる典型的な問題が中心でした。
[7]の(イ)や[8]のように、英文と資料を読んで答える設問に対応するには素早い情報処理の力が求められます。

東京都(総ワード数:2,802)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 対話文、文章の質問の答えを英文から選ぶ、英語の質問に対する解答を英語で書く 20 5
2 長文読解 図表を含む対話文読解と英作文 24 4
3 長文読解 対話文の読解 28 7
4 長文読解 長文読解 28 7

配点の割合

[1] リスニング、[2] 図表を含む対話文読解と英作文、[3] 対話文読解、[4] 長文読解という4題構成は例年と変更ありませんでした。
[3] でEメールの英作文が出題されることも2023年度と同様で、配点や問題構成に関して大きな変更はなかったと言えます。
英作文は例年同様、メールの前後の文につながるように書く問題で、単純に英作文の力だけでなく読解力も試されています。
読解問題では下線部分の内容や理由を問う問題と、本文全体の内容に関する問題が出題されるので、英文の内容を日本語に置き換えずに英語のまま速く正確に理解して問題を解く必要があります。

愛知県(総ワード数:1,400)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
L1 リスニング 対話に関する質問 3 3
L2 リスニング スピーチに関する質問 2 2
R1 長文読解 対話文の空所を埋める問題 3 3
R2 長文読解 グラフを読み取り発表原稿を作成する問題 3 2
R3 長文読解 長文読解と発表原稿を作成する問題 5 5
R4 長文読解 対話文とウェブページの情報読解 6 6

配点の割合

[1] 対話文補充、[2] グラフの読み取り、[3] 長文読解、[4] 対話文読解という4問構成は2023年度と同様でした。
[2] は2023年度はイラストでしたが、今年度はグラフの読み取りになりました。
出題の形式に大きな変更はないですが、設問数が1問減り、[2] の語順整序の配点が2点になりました。
[1]・[2]は比較的基本的な問題ではありますが、[1]では仮定法が出題されており油断はできない問題でした。
[3]・[4]は発表のためのメモや文章内容を表にまとめる、大学入学共通テストを意識したような問題が2023年度と同様出題されました。

大阪府[B](総ワード数:1,600)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
リスニング 対話の適切な応答、対話に関する質問、スピーチに関する質問 22 8
1 長文読解 対話文読解 29 9
2[1] 長文読解 スピーチの読解 29 10
2[2] 英作文 スピーチをもとにした英作文 10 2

配点の割合

[1] は2023年度と同様、異文化の理解に関する対話文の読解、[2] は本多静六に関するスピーチの文章読解の2題構成でした。
[2] の後半に英作文が出題されているのも2023年度と変わりません。
長文読解の設問のタイプの順番は多少異なっていますが、語順整序・空所補充・脱文挿入・文整序・部分英作文・内容一致など様々なタイプの設問が出題されています。また、2023年度に引き続き仮定法が出題されました。
2問目の英作文は自分の意見を正しい英語で書く必要がある設問で、やや難しかったと言えます。

福岡県(総ワード数:1,206)

問題番号 分野 内容 配点 問題数
リスニング 対話の適切な応答、地図を使った問題、対話に対する質問、英文に対する応答 20 12
1 長文読解 会話文を成立させる空所補充問題 8 4
2 長文読解 会話文と振り返りの英文の読解 10 5
3 長文読解 ユミの家族に関する長文読解と英作文 14 6
4 英作文 質問に対する返信の英作文 8 1

配点の割合

問題の構成は、[1] 対話文の空所補充、[2] 会話文の読解、[3] 長文読解、[4] 英作文の4題構成で、2023年度と同様でした。
[3] の出題が2023年度とは多少異なるものも見られましたが、出題のパターンもおおむね同じでした。
[2] の整序作文では、2023年度は原型不定詞と関係代名詞の省略が出題されていましたが、2024年度は現在完了進行形と関係代名詞の省略が出題されました。
[2]・[3]の長文読解では、語注はあるとはいえ、多少難しく感じる受験生が多い語が使われていました。

文章量・ワード数増加への対策は?

学習指導要領の改訂により、各入試問題のワード数や文章量も変化しています。
これらに対応するためには、語彙力とwpm(読むスピード)を向上することが不可欠です。

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さらに、英文をスムーズに読むのに必要な単語のトレーニングや、長文でリスニングトレーニングを行うこともできます。

まとめ

公立高校入試の英語のワード数 全国平均は約1650ワード

  • ワード数1位は大阪府の2,911ワード!次いで東京都の2,802ワード、神奈川県の2,688ワード
  • 入試では単純に問題を読むだけでなく、解いて解答用紙に記入する時間も必要
  • 入試対策には語彙力だけではなくwpmの向上が不可欠

新学習指導要領の変化により、ワード数や文章量が変化しています。
総合的に英語力を鍛えるために、速くから英語に慣れるよう計画的に取り組みましょう!

一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

監修

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

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