2024年度実施 大学入学共通テスト 国語 文字数を分析 難易度は昨年並みだが、速読解力は必須
公開日:2024.01.22
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約2分で読めたら読書速度1200文字/分。
2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト1日目が行われました。国語は、文字数は昨年並み。出題意図が明確な問題が多かったものの、昨年同様複数の文章や資料を関連付けて答えを導き出す力が必要です。
全体としての難易度は昨年並みといえますが、表現力を問う問題も出ており、情報を整理してアウトプットする時間の確保のため、速く正確に読み解く力は必須といえます。
文字数は約24,135文字で、昨年並み
文字数は大問1 評論が約8,300文字、大問2 小説が約8,121文字、大問3 古文が約4,638文字、大問4 漢文が約3,076文字でした。合計は約24,135文字と昨年から約75文字増え、文字数が大幅に増えた昨年と同程度でした。
現代文は、昨年よりも文字数が約400文字減りましたが、マーク数は2つ増加しました。大問1・2ともに、本文が1つ、設問で本文に関連する文章が示される形式でした。大問2では、資料に基づいて教師と生徒が対話する形式で登場人物の人柄をとらえる問題が出題され、慎重かつ正確に読み解く必要があったといえます。
古文・漢文は、基礎知識を問う問題が昨年よりも増えました。大問3では、設問で本文の表現に関する現代語の文章が示され、描写や登場人物の人柄を読み取る問題が出題されました。大問4では詩と関連する資料4つが示され、それぞれを照らし合わせて解答する必要があった問5は、やや難度が高かったと思われます。
全体として、解きやすい問題は増えたものの、複数の文章や資料を速く正しく読み取り、情報を的確に処理する力が求められました。
原稿用紙60枚分の内容を読み解くためには時間配分が大切
試験では、解く時間や書く時間に約6割が必要と言われています。
2024年度の国語の文字数は24,135文字で、原稿用紙60枚分です。日本人の平均読書速度は500〜600文字のため、通常の速さで読んでいては解く時間が足りなくなってしまいます。
制限時間のある試験では読書速度の違いによって時間配分に大きな差が生じます。
余裕を持って試験に取り組むためには、平均読書速度(1分間に500文字)の2~3倍が必要です。
国語以外でも資料読解力が求められる
知識問題に加え、実験考察や資料解析など解答に時間を要する数学や理科でも昨年に比べて文字数が増え、特に化学は約2,785文字増加しました。
社会でも文字数は多く、現代社会では19,000文字、世界史B・日本史Bでは17,000文字を超えており、平均読書速度(1分間に500文字)で読むと時間が足りません。
また、世界史では、前の問題の解答に連動して正答が変わる連動型の問題が共通テスト本試験で初めて出題され、情報を結びつけて考えることが求められました。
国語以外についても、複数の資料から必要な情報を読み取り、習得している知識と整合することで正解を導き出す必要があり、読解力、思考力とスピードを兼ね備えた情報処理能力が必須となっています。
2025年度からは国語で「実用的な文章」が出題される
2025年度の共通テストからは、新学習指導要領に基づいた出題となり「実用的な文章」が独立題として出題されます。
文部科学省の「高等学校学習指導要領」では、実用的な文章について「実社会において、具体的な何かの目的やねらいを達するために書かれた文章のこと」とされており、「ここでは、現代の社会生活に必要とされるものを取り上げる」としています。
これまでの共通テストでも、他の科目も含めて実社会に即した内容に関する出題は見られましたが、次年度以降は確実に出題されることになります。
これまでの論理的文章、文学的文章、古文、漢文の対策に加え、「実用的な文章」の対策も行っていく必要があります。
まとめ
国語の文字数は約24,135文字で昨年並み
- 国語の文字数は約24,060文字で昨年より約3,000文字増
- 理科や社会で文字数が増加。国語以外でも資料の読解力や情報処理能力が求められた
- 2025年度以降本格化する「実用的な文章」や実社会に即した出題への対策も必要
国語の文字数は分量が増えた昨年と同程度でしたが、理科や社会では文字数が増加しました。知識を暗記するだけではなく、習得した知識を活用しながら資料を速く正確に読み取る力、複数の情報を結びつける情報処理能力を身につけることを意識する必要があります。
また、2025年度からは、国語で「実用的な文章」が新たに大問として出題されます。他の科目でも実社会での生活に即した問題が出題されており、普段から日常生活や社会の出来事に目を向け、自分なりの考えや疑問、意見をまとめる練習をしておくことが大切です。