Chat GPTは学習で使える?教育での使い方と子どもが使う時の注意点

この記事は3867文字です。
約3分で読めたら読書速度1200文字/分。

ChatGPTは学習で使える?教育での使い方と子どもが使う時の注意点

文章・画像・音楽などを自動的に作り出す「生成AI」。文部科学省は教育現場で児童生徒や教員が利用する際のガイドラインを公表しました。間違いの多さ、誤った情報の拡散、著作権の侵害といったリスクも指摘されています。
家庭でも夏休みの宿題に取り組む前に、生成AIの活用について確認してみてください。

保護者

最近話題のChat GPTってなにができるの?
宿題に使うのがだめなのは分かるけど、自由研究だったら子どもが使っても大丈夫かな……

Chat GPTとは?

Chat GPTはAIチャットサービス

Chat GPT(チャット ジーピーティー)とは、人工知能の研究開発機関「Open AI」により開発された、AIが会話形式で答えるチャットサービスです。GPTは「Generative Pretrained Transformer」の略で、インターネット上の大量のテキストデータから学習し、人間が自然に会話をするような文章を生成し、質問に答えてくれます。

Generative Pretrained Transformer

生産的な  事前に訓練する  変成器

SiriやAlexaなどの音声アシスタントとの違い

質問したことに答えてくれるAIといえば、AppleのSiriや、Googleアシスタント、Amazon Alexaがあります。Chat GPTはそれらとはどう違うのでしょうか。

音声アシスタント

実行方法 音声
アプリ Siri、Googleアシスタント、Alexa など
出来ること プログラミングされたことの実行
使用場面 天気やニュース
タイマーやアラームの設定
メッセージの送信
家電のON、OFF など

生成AI

実行方法 テキスト入力
アプリ ChatGPT、Bing Chat、Bardなど
出来ること 学習に基づき、指示された内容を自動で生成
使用場面 文章の作成
タイトルのアイデアを出す
ディベート
会話のシミュレーション など

音声アシスタントは、ユーザーがプログラミング(登録)したアクションを音声の指示で実行してくれます。
生成AIは、インターネット上の大量の情報から自己学習して”それらしい答え”を返してくれます。
つまり、生成AIはより人間らしい会話が出来るというメリットもありますが、間違った答えをすることもあります。

保護者

間違った答えをすることがあるというのが、人間っぽいかも!
だから全部を信じないように気をつけないといけないね。

教育現場でのChat GPT(生成AI)規制

ChatGPTを宿題に使ってもいい?

文章の作成や計算などができる、便利なChat GPT。宿題に使ってもいいのでしょうか。
文部科学省は2023年7月に「初等中等教育における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を発表。生成AIの活用や注意点についてまとめられています。

適切でないと考えられる例

  1. 情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階で⾃由に使わせる
  2. コンクールの作品やレポートなどで⾃⼰の成果物として提出する
  3. 詩や⾳楽・美術等などで、感性や独創性を発揮させたい場⾯で安易に使わせる
  4. テーマに基づき調べる場⾯などで、教材を⽤いる前に安易に使わせる
  5. 教師が評価すべき場⾯で、安易に⽣成AIから⽣徒に対し回答させる
  6. 定期考査や⼩テストなどで使わせる
  7. 児童⽣徒の学習評価を、教師がAIからの出⼒のみをもって⾏う
  8. 教師が教育指導を実施せずに、安易に⽣成AIに相談させること

活⽤が考えられる例

  1. 誤りを含む⽣成AIの回答を教材として使⽤し、その性質や限界等を⽣徒に気付かせる
  2. ⽣成AIをめぐる社会的論議について、その素材として活⽤
  3. ⽣徒同⼠で議論をした上で、⾜りない視点を⾒つけ議論を深める⽬的で活⽤させる
  4. 英会話の相⼿、外国⼈児童⽣徒等の⽇本語学習のために活⽤
  5. ⾃ら作った⽂章を⽣成AIに修正させ過程・結果を提出させる
  6. ⽣成AIを⽤いた⾼度なプログラミング
  7. ⽣成AIを活⽤した問題発⾒・課題解決能⼒を評価する観点からパフォーマンステストを⾏うこと

※「初等中等教育における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」より抜粋

保護者

生成AIが作ったものを、「自分で作ったと」言って提出してはいけないということね。
使った場合は、生成AIの名称や、やりとりの過程も提出する必要がありそうね。
英会話の相手は私ができないから、AIがしてくれると助かるかも……

生成AIアプリには年齢制限がある

生成AIの使用には、そもそも年齢制限があり、小学生だけで使うことはできません。
中学生・高校生が使う場合でも、保護者の同意が必要です。

アプリ 提供主体 利用規約上の年齢制限
Chat GPT Open AI 13歳以上
18歳未満の場合は保護者同意
Bing Chat Microsoft 成年であること
未成年の場合は保護者同意
Bard Google 18歳以上

保護者

年齢制限があるんだ!
これなら、ドリルなどの宿題に使うこともなさそうで安心。

Chat GPTの使い方

スマホでの始め方

Chat GPTは登録のみで無料で利用できます。さらに、高度な指示や画像にも対応できる有料版の「Chat GPT Plus 」もあります。
公式サイトからアカウントを登録した後、質問を入力するだけで利用できます。

URL: https://openai.com/blog/chatgpt/

必要な情報

  • メールアドレスの登録
  • FirstName(名前)、LastName(名字)の登録
  • Birthday(誕生日)
  • 電話番号の登録(入力した電話番号にコードが届きます。)

アカウントが作成できたら、さっそくAIに生成してもらいたい内容を入力し、送信してみましょう。

Chat GPTなどの生成AIの欠点や注意点

真偽を確かめることが必要

高度な文章を作成することが得意な生成AIですが、インターネット上のデータから真偽に関わらず使用頻度の高い単語を使って生成するため、正確ではない内容を含んだ文章を生成する可能性があります。
また、過去にトレーニングされた情報で生成しているため、直近の出来事についての質問には対応できません。学習されていない事柄についての文章生成も不確かで、「〇〇の物語の要約をして」と聞いても、物語を知らずに文章を生成している可能性があります。

  • 単語の出現頻度や相互関係から文章を生成するため正確性に欠ける
  • 直近の出来事に関する質問に対応できない
  • 学習されていないことに対応できない

生成された文章は「参考の⼀つに過ぎない」ことを⼗分に認識し、最後は⾃分で真偽を確かめる(ファクトチェック)ようにしましょう。

保護者

最新の情報に対応していないんだ! ニュースや天気をChat GPTに質問しても、正しい内容は答えてくれないんだね。

保護者

物語の要約も、文章は作ってくれるけど正しいかどうかは分からないってことだから、読書感想文には使おうと思ってもだめなんだ。

著作権に注意

生成AIは発展途上にあり、著作権侵害のリスクもあります。生成AIで作成した文章などが、すでに発表されている著作物と似ている、元にしているなど、著作権を侵害していないか注意する必要があります。

⼀⽅、学校の授業では、著作権法第35条により許諾なく著作物の複製や公衆送信ができるため、授業や課題などで使用する場合は、既存の著作物と同⼀⼜は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利⽤することは可能です。

⼀般向けのWebサイト、SNS、外部のコンテストに作品として提出するなど、授業⽬的の範囲を超えて利⽤する場合は、著作権に注意しましょう。

保護者

知らず知らずの内に著作権を侵害していたら怖いから、正しい使い方ができるように気をつけないと!

まとめ

まずは生成AIを使いこなす力を学ぼう

  • Chat GPTとはAIが会話形式で答えるチャットサービス
  • 教育現場では、生徒の発達を考慮して適切に使用する
  • 生成AI利用には年齢制限があるので、未成年は保護者の同意が必要
  • 生成した文章の真偽や、著作権を侵害していないか注意する

膨大なデータから文章を生成してくれる便利な生成AI。しかし、一見もっともらしく見えても、不正確または無意味な回答を作成することがあります。まずは生成AIの特性を知り、上手に活用できる知識を身につける必要があります。
宿題や作文などに使用しないよう、注意があった学校も多いのではないでしょうか。使ってみたい場合は年齢制限を確認し、必ず保護者の方と一緒に試してみましょう

関連キーワード

人気記事

時代とともに変化する!?日本の語彙
2023.02.17

言葉の意味は時代と共に変わる!?変化する日本語の語彙

日常の会話やコミュニケーションなど、生活に欠かせないのが母国語の『語彙』です。文化庁が実施した調査の結果でも、言葉やその使い方について、社会全般の課題があると答えた人が8割を超える結果となっています。

2024年度実施 大学入学共通テスト国語 文字数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 国語 文字数を分析 難易度は昨年並みだが、速読解力は必須

2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト1日目が行われました。国語は、文字数は昨年並み。出題意図が明確な問題が多かったものの、昨年同様複数の文章や資料を関連付けて答えを導き出す力が必要です。

2024年度実施 大学入学共通テスト英語 語数を分析
2024.01.22

2024年度実施 大学入学共通テスト 英語 語数を分析 3年連続6,000語超え

2024年度(令和6年度)大学入学共通テストが、2024年1月13、14日に行われました。リーディングでは3年連続で6,000語を超え、リスニングでは今年も非英語母語者が混じる会話や、グラフや図と絡めた出題がみられ、総合的な英語力が問われました。