共通テスト「情報Ⅰ」の試作問題が公表!初年度は配点しない大学も?
公開日:2023.04.18
最終更新日:2024.10.08
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2025年度(令和7年度)の国立大学入試では、新設される「情報Ⅰ」を含めた6教科8科目の試験を原則として受ける必要があります。しかし、初年度は「配点しない」「半分での配点とする」と公表している大学もあります。
どのような対策をしたらよいか、不安に思っている高校生も多いのではないでしょか。この記事では、「情報Ⅰ」の試作問題の内容や受験対策を紹介します。
目次
2025年実施 共通テスト「情報Ⅰ」の内容
「情報Ⅰ」試作問題の構成と配点
「情報Ⅰ」は試験時間60分、100点満点です。試作問題では、4つの大問から構成されています。選択問題はなく、全て必答です。
引用:令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等「試作問題「情報」の概要」」(大学入試センター)
配点を見ると「コンピュータとプログラミング」が46点、「情報通信ネットワークとデータの活⽤」が31点と、高い配点となっています。出題内容は検討中のため、試作問題から変わることもありますが、「コンピュータとプログラミング」はしっかり対策をしておきたいですね。
全体的には問題内容を読むことで解ける内容となっており、基本的な知識や技能を元に、情報を正しく読み取り論理的に考察できるかが問われます。
大学ではどのように取り扱われる?
「情報I」は2025年度(令和7年度)から原則として国立大学の入試科目として扱うことになります。しかし、一部の国立大学は情報Iの配点を0にすることで、実質的に選考に使わない措置をとると公表している大学もあります。
北海道大学、徳島大学、香川大学は「配点しない」と公表しています。
北海道大学
【入学者選抜方法】大学入学共通テストの成績,個別学力検査等の成績及び調査書等を総合して合格者を決定します。ただし,大学入学共通テストの情報Ⅰの成績は配点しません。
宮城教育大は、全専攻で100点満点を50点に換算して合否判定に使うと公表しています。
宮城教育大学
(1)総合型選抜(一般枠)・芸術体育・生活系教育専攻で「情報Ⅰ」(配点 50 点)を課し、総合点を 900点→950 点とします。
一方で、電気通信大学は2次試験(前期日程)で試験科目として採用すると発表しました。
電気通信大学
高等学校学習指導要領において必修とされた「情報I」を学んだ高等学校卒業者が大学に進学する令和7年度入学者選抜から、科目「情報Ⅰ」を試験科目として選択可能とした入学試験を実施することとしました。
私立大学では必須科目ではなく、選択科目に「情報Ⅰ」を加えるのではないかと予測されています。
現在公表されている情報も、変更される可能性があります。受験する大学の最新情報を必ず確認しましょう。
情報Ⅰの共通テスト試作問題
出展:令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等 「試作問題「情報」の概要」,試作問題『情報Ⅰ』 (大学入試センター)
大問1 基礎知識
大問1は、4つの小問で構成されており、配点は20点です。
文字数は約2300文字です。状況を説明する文章が長くなっており、要点を読み解く必要があります。
第1問概要
「(1)情報社会の問題解決」「(2)コミュニケーションと情報デザイン」「(3)コンピュータとプログラミング」「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」のそれぞれの内容を踏まえた独立した4つの小問による出題。情報社会と人との関わりの中で,情報及び情報技術に関して科学的に理解し,適切に活用できるかを問う。
大問2 情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン
大問2は、独立した2つの問題A(小問4)・B(小問3)で構成されており、配点は30点です。
文字数は約3800文字です。問題Bではシミュレーションの問題が出題されており、ここでも読解力が試されます。授業や演習問題でも、シミュレーションの対策はしっかりとしたいですね。
第2問概要
「(1)情報社会の問題解決」「(2)コミュニケーションと情報デザイン」「(3)コンピュータとプログラミング」を踏まえた独立した2つの問 題による出題。
A
広く私たちの生活の中で利用されている情報技術の一つである二次元コードについて,その仕組みの理解と探究的な活動の中で得られる規則性や特徴について,また,知的財産権との関わりについて考察できるかを問う。
B
文化祭の模擬店の待ち状況について考えるという日常的な問題解決の場面で,問題の中で示された乱数を発生させる確率モデルのシミュレーションの考え方を理解し,シミュレーションの結果か ら読み取れる内容や,変数を変化させた場合の結果を考察できるかを問う。
大問3 コンピューターとプログラミング
大問3は、3つの小問で構成されており、配点は25点です。
文字数は約3200文字です。共通テストでは、独自の日本語プログラミング言語(DNCL)が使用されます。問題に取り組む際には、問題文の中の説明や指示に注意して解答しましょう。特定のプログラミング言語ではなく、論理的思考や課題解決能力を問われる問題となっています。
第3問概要
「(3)コンピュータとプログラミング」を 踏まえた出題。 日常的な買い物において,代金を支払う際の「上手な払い方」を考えるという問題解決の題材において,基本的なアルゴリズムとプログラミングの基本に関する理解を基に,示された要件を踏まえたプログラムについて論理的に考察できるかを問う。
大問4 情報通信ネットワークとデータの活用
大問4は、5つの小問で構成されており、配点は25点です。
文字数は約3100文字です。データを活用した分析問題が出題されており、図表は7個でした。参考問題の図表は8個となっており、解くことに時間がかかるでしょう。
第4問概要
「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」を踏まえた出題。 国が実施した生活時間の実態に関する統計調査を基に,スマートフォン・パソコンなどの使用時間と睡眠の時間や学業の時間との関係を題材に,データの活用と分析に関する基本的な知識及び技能と,データが表すグラフから読み取れることを考察できるかを問う。
情報Ⅰの共通テスト対策
「情報Ⅰ」は読み解く力が必要
試作問題の文字量は合計約12,400文字となっており、原稿用紙31枚分の文字量です。
日常的な事象や社会的な事象と情報の結びつき、情報記述を活用した問題の発見、解決に向けての考察する力を問う内容が出題されています。身近な題材を扱った問題ではありますが、図表も多く、共通テストではおなじみの花子さんと太郎さんの会話文も登場しており、情報を整理しながら読む必要があります。
また、高等学校の「情報Ⅰ」の授業で使用するプログラミング言語は多様であることから、共通テスト用のプログラム表記が採用されています。その条件をしっかりと理解して解く力も必要です。
処理能力を高めるトレーニング
日本速読解力協会の「速読解・思考力講座」では、「情報Ⅰ」でも役立つ基礎的読解力や思考能力、処理能力を鍛えるトレーニングが搭載されています。
「情報Ⅰ」に限らず、大学入学共通テストでは前提や状況説明の文章が長い傾向にあります。受験対策として、すべての学習の基礎となる「速く正確に読み解く力」を身につけましょう。
速読解力トレーニング
脳力トレーニング例
きまり ドッツたしざん
まとめ
志望校の入試情報を確認して、早めに対策をしよう
- 「情報Ⅰ」は国立大学入試で2025年から原則受験
- 試験時間は60分、100点満点
- 初年度は配点がない・減らす国立大学もあるので確認が必要
- プログラミング知識の他、思考力や情報処理能力が問われる
「情報Ⅰ」の試験では、ネットリテラシーやプログラミングの知識だけでなく、読解力や思考力、数学的な知識も必要となります。授業ではPython、JavaScriptといったプログラミング言語を学びますが、共通テストでは独自の日本語プログラミング言語(DNCL)が使用されます。言語に関わらずプログラミングの仕組みをしっかりと理解し、テスト対策を行いましょう。
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